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オリバー・ツイストのtaruponのレビュー・感想・評価

オリバー・ツイスト(2007年製作のドラマ)
4.1
原作は未読
ディケンズの原作ものが見たいと思って見たのだが、原作を読んでいないせいもあると思うが、前後編3時間でこれだけ見てある程度納得できるものに仕上がっていて好印象。

レビューを見ていたら、トム・ハーディ目当ての方が多いようだったけれど、確かに後編での存在感はすごくあった。

ストーリーは、貧窮院で生まれたオリバーツイスト(母は良いところのお嬢さんだが結婚が認められず産んで死亡)が、貧窮院から抜け出てロンドンで孤児たちを集めた窃盗団の一味に取り込まれいろいろ紆余曲折を経て、オリバーを探していた家族に引き取られる話。

まず、オリバーが何といっても可愛い、美少年(これ大事!)

そして、当時の社会状況を踏まえた風刺がすごく効いている。

オリバーがもともといた貧窮院と、ロンドンの窃盗団 
ある意味どちらも孤児たちを引き取って育てる役割を果たしているけれど。
貧窮院の運営者達は一応地元のそれなりの人達であるはずだけれど、孤児のことは今の基準でいったら虐待状態。
そして、かたやユダヤ人のフェイギンが世話する少年窃盗団 詐欺泥棒を生業としているのだから決して褒められた状態ではないけれど、少なくとも悪の道であれ自活していくことができるようになっている。
いろいろに矛盾を感じるよね。

そして、窃盗団に関わる大人3人、フェイギンとナンシーとサイクス いずれも自分自身が守りたいもののために死んだりおかしくなる。
ナンシーは、ミスをつけてきちんと信頼できる人として扱ってくれたオリバーをいるべき場所に戻すために、自分自身が盾になる 
フェイギンは、はじめから出来レースのような裁判にかけられ、最後嫌がらせのようにユダヤ教徒としての信仰を捨てろと言われ、それだけはできないと拒否し刑に処せられる
サイクスは、自分を受け入れてくれるナンシーがよりどころだったんだろうなぁ

最後のオリバーは幸せになりました!な最後は、まぁ勧善懲悪で終わるから当然こうなるだろうな終わり方ではあるけれど。
最後にサイクスの残された愛犬を連れて去るドジャーがどういう生き方をするのか(どれだけ心の冷えた大人になってしまうのか)が気になる。
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