あでぃくしょんBBA

シグナル 長期未解決事件捜査班のあでぃくしょんBBAのレビュー・感想・評価

3.7
2024.02.20 配信で視聴

設定(お膳立てツール)が名作『オーロラの彼方』と似通ってたもんで、観はじめはちょっとゲンナリした。この十四、五年、オカルティックな設定に頼った物語が増えすぎたせいもある。
だけど観ていくうちに、北村一輝と甲本雅裕の演技とリアルな存在感が嘘くささを消してくれて、どんどん話に引き込まれていった。この二人がいなかったら、ふわふわしたそんじょそこらのオカルトミステリーと大差ない仕上がりになっていただろう(北村一輝と甲本雅裕で☆5。そこからマイナスした点は後述)。
北村一樹演じる大山巡査部長の私室の本棚に『カント全集』を置いたことで、大山巡査部長の人間観や倫理観がうかがわれるような仕組みになっているのも良かった。

マイナス点は二つ。
警察官が病院内で拳銃を抜くとか、リアルなら都合の悪い部下を違う署に転属させるはずなのに窓際とはいえ同じ署に置いておくとか、そのへんのフィクション上等が気になった。
また、各回に頻出する“しみじみシーン”や“情動クライマックス”で、いちいち流れる情感刺激用のBGM、これに興が削がされた。製作側は、「キャストが大根だからBGMで盛り上げなきゃしょうがない」または「日本のテレビ視聴者は理解力がないからBGMで盛り上げどころを教えてあげなきゃならない」と考えてるのかもしれないが、いらぬお節介だ。邪魔にしかならない。
あでぃくしょんBBA

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