金子茂樹のドラマ初。良いとこはあるけど、微妙なとこも確実にある。
売れないコント芸人の終わりゆくモラトリアムと、そんな芸人に人生を救われてしまう人間のドラマを今描く必要性は感じた。実用性のないエンターテインメントは不要不急だと切り捨てられた一年間を経験した上で、売れもせず、笑えもしないコントにも人の人生を好転させる力があり、存在価値はあると言い切る優しさは支持したい。ただ優し過ぎるという印象もあるが。コント芸人を描く上で、彼らにリアリティを感じられなかったのは大きな欠点。「売れない芸人」だから、という言い訳ではカバーし切れない実在感のなさ。芸人の世界における横の繋がりや、当人たちの仕事への意識の持ち方、そういうのも描かないと「売れない芸人」のリアリティは出ないと思う。結局最後までコントが好きな人たちに見えず、友達と一緒にバカやってたいだけの人たちに見える。それは事実なんだろうけど、多分その程度のノリでは10年は持たないと思う。5年目くらいの設定ならギリいけるが、10年続けるならもう少し仕事や自身の才能に対する客観的な考えも生まれてるでしょう。お笑いがテーマを描く為の単なるモチーフにしか過ぎなくても、それを軽視したら面白いドラマにはならない。ましてやお笑いが人を救うなんて説得力も持ちようがない。俳優部の好演は要所に見られるが、若者たちの「リアルな」談笑芝居も個人的には苦手。楽しげな会話ではなく、楽しい会話を見せて欲しい。有村架純の酔っぱらい演技は名演。
