映画初心者

コントが始まるの映画初心者のレビュー・感想・評価

コントが始まる(2021年製作のドラマ)
4.7
今期ドラマ1位はコントか大豆田か。
私の中で最終回ギリギリまで競っていた2作品ですが、意外にも点が離れました。

こちらを高評価にした理由は、
『私にちょうどハマった』のと
『減点すべき点があまり見当たらなかった』からです。


○ハマった点

同世代の役者さんが、等身大の悩みを抱えている本作。
率直に、とても共感した。
私の現状を何故そんなに分かるの?と思うほど、痛いほど、同じ部分を突いてくる。

恐らく、もっと上の世代の人なら
『こんな時代もあったなー』とは思ってもそこまで共感はしないだろう。
これは完全に若者向けドラマで、視聴者が『彼らと一緒に青春を過ごしている』ような感覚にさせてくれるドラマだ。


○減点すべき点が見当たらない

大豆田は脚本のパワーが強い分、作品の伝えたいことがしっかりしていて視聴者側が良し悪し(好き嫌い)を決めやすい。

だが本作は、どれが台詞?と思うくらいアドリブが多そうな印象を受ける。
作品の主導権を握っているのは役者たちで、そこに+脚本+演出+主題歌等々がついてくる形だ。

脚本や演技力などの創作物なら文句の一つも言えるが、人の人生や価値観は他者が評価するものではない。
役者が自然体を極めているのが本作の魅力である。

なので、『大豆田よりクオリティがめちゃめちゃ高かった』のではなく
『私の価値観で減点しなかった結果、点差が開いた』と言った方が正しいだろう。

そして、それゆえに言いたいことがある。


本作のレビューを書くためにストーリーを思い返してみると、不思議なことが起こった。

大豆田みたいに
あそこが面白かった!とか
あれは納得いかない!とか
そういうものがパッと出てこなかった。

何故だろう…?
(私の記憶力のせいではないと信じたい。。)


恐らく、私が観ていたのは『作品』ではなく『それぞれの役の人生』だったから。
多分本当に『一緒に青春を過ごしていた』のです。

見終わったあとに残った気持ちは
『あの頃楽しかったな』とか
『寄り添ってくれて嬉しかったな』みたいな感覚で
『あの台詞が良かったな』とか
『あの演出が良かったな』ではない。

自分の短い人生を振り替えって
『何話したかなんて覚えてないけど、○○って友達がいたな』
『何かあの頃頑張ってたよな』って感覚だけ残ってる感じ。

全てとっても大切な思い出で、それが私の人生を形造っているのだけれど、見返したいかと聞かれたら何か違う。

多分この作品は1回で充分なんですよ。
だからコントの方が高評価だけれど、何度も観たいのは大豆田です。

大豆田が人生の教科書なら、コントは共に泣き、笑い合った友。
友ともう会えないのは寂しいけど。

最後に
役者陣は勿論ですが脚本の伏線回収も主題歌の入るタイミングもとても良かったからこその高評価です。
最終回の終わり方もとても良かった。

観れて良かった作品でした。
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