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コントが始まるのmaroのネタバレレビュー・内容・結末

コントが始まる(2021年製作のドラマ)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

2021年春ドラマで面白かった順位:2/8
 ストーリー:★★★★★
キャラクター:★★★★★
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★★☆

お笑いトリオの10年間を描いた大人の青春ドラマ。
月並みな言葉で言えば、今期のドラマの中で一番心が温まる内容だった。
なぜなら、このドラマで伝えたかったことは、「自分のやってきたことをどれだけ肯定できるか」だから。

結局、マクベスは解散という道を選んだ。
それが「負け」なのかというと、そうではないというのがこのドラマでの答え。
むしろ、瞬太(菅田将暉)は自分たちは勝っていると思っていた。

第9話で、真壁先生(鈴木浩介)が解散ライブに向けて、自宅の庭でバーベキューを開いてくれた。
こういう人間関係をいくつ作れるかが、人生の勝敗を決めると。

そう考えると、人生の指標っていっぱいあるし、複数要素が絡み合うよね。
もし、「売れっ子芸人になる」という視点だけで見れば、彼らは売れないまま解散したので、負けということになるのかもしれない。

ただ、負けたからといって、自分たちがやってきたことが無駄だったのかというと、それは違う。
彼らのコントに支えられた人はいるから。

最終回での里穂子(有村架純)のセリフ。
「今後、どんなに面白い方たちが現れても、私にとってマクベスのお三方だけは、特別なんです」
こうやって誰かの人生に影響を与えたことは確か。
それだけで、マクベスがコントをやっていた意味はあった。

それが、第5話からつながる話なのかなって思う。
このとき、春斗(神木隆之介)は解散することに対して、これまでの努力が報われなかったと嘆く。
でも、結果が遅れてやってくることもあると諭すのが里穂子。

彼女は高校時代に華道部の部長をやっていた。
優勝を目指していたものの、3位で終わってしまった。
それ以来、花からは離れていたけれど、バイト先のお客さんにたまたまお花のことを聞かれて、それに答えたらものすごく感謝されたと。
そのとき、彼女は過去にやってきたことが今報われて、初めて当時の自分を肯定してあげられる気がしたそうだ。

マクベスでの10年間、売れることはなかったけれど、最後に里穂子の支えになったのだとしたら、それは後からやってきた結果なのかなって。

夢や目標っていうのは、一番の理想は、最初に目指したところにたどり着くこと。
それが叶う人ほど羨ましいことはないけれど、どうしても無理なことはある。
それは、能力的な問題かもしれないし、経済的な問題かもしれないし、時期的な問題かもしれない。
けれど、行きたいところには行けなかったとしても、行き着くところには行き着くんだよ(この言葉は受け売りだけどw)。

負け惜しみと言われたらそれまでだけど、勝ち負けだけでなく、意味があるかないかでいったら、人生に無意味なものはないと僕は思うし、そうやって捉え方や方向性を変えながら進んで行くのが人生なのかもなって思う。

だから、自分がこれまでやってきたことを肯定してあげることで、
人生に意味を持たせることを教えてくれたのがこのドラマ。

コロナ禍で先行きが不透明な今の時代だからこそ、
少しでも自分を大切にしてあげられる話になったのかなって思った。

あと、松田ゆう姫って松田龍平にそっくりだよね(笑)
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