MikkoIchitani

生きるとか死ぬとか父親とかのMikkoIchitaniのレビュー・感想・評価

生きるとか死ぬとか父親とか(2021年製作のドラマ)
3.9
楽しかったこと、悲しかったこと、嬉しかったこと、辛かったこと、怒り……人は時間が経つと記憶を自分にとって都合の良い物語に編集してしまうものなのだろう。

原作者のジェーン・スーを思わせるとき子と局アナ東さんの掛け合いは本当にずっと聴いていたくなるような心地よさで、ドラマなのに毎話ラジオの良さもしっかり伝わるシーン作りが素晴らしい。(田中みな実そのままだけど、代表作なのでは?笑)リスナーからのお便りを起点に、40代半ばでシングル、一人っ子の作家として生きる主人公の生活や父親との関係、亡き母の生きた時間に思いを馳せる構成で、このままいくと10年後の自分の姿をみているようで、なかなかに刺さった。

とき子のように喪失がもたらす記憶改変を少しでも減らすために、母や姉が元気なうちにいろいろと話を聞いておこうと思った。

あと、回想シーンのキャスティングが絶妙。というか、松岡茉優の憑依力。本当に吉田羊かと思うふとした瞬間ありすごかった。あと、DJ松永いい役者になれそう。ラストにかけてタイトルが追加される演出もとても良かった。