エリオット

地下鉄道 ~自由への旅路~のエリオットのレビュー・感想・評価

地下鉄道 ~自由への旅路~(2021年製作のドラマ)
4.4
南北戦争が1860年代なのでそれより数十年前のアメリカ
南部の農場から逃げ出した黒人奴隷が北部へ逃亡する手段として実際に地下に鉄道網が敷かれていたというSF的発想の原作がとても面白かったのでドラマ化されると聞いて楽しみにしていた。

有名な映画監督がドラマを監督するといっても実際には1・2話だけであとは若手などに任されることが多いが、本作は全話バリー・ジェンキンスが監督しており、あの「ムーンライト」や「ビールストリートの恋人たち」と同様、美しい映像で描かれる残酷な世界が全話堪能できる。それも4Kで。

地下鉄道が辿り着く土地ごとに世界の仕組みは異なり、それに伴って主人公のコーラの衣装や佇まいそして何より彼女を演じるスソ・ムベドゥの表情が変化していくので、視る者は彼女と一体化してそれぞれの世界を体験するが、どれだけ見かけの仕組みが変わってもどの場所も有色人種にとって悲惨であることに変わりなく、それは我々が生きるこの時代の世界までずっと続いている。

特に後半9話10話あたりは台詞も少なくなり映像のみでぐいぐいとその世界に引っ張る力強さに圧倒されるので、ずっと見続けるのはしんどいかもしれないがそこまで我慢する価値は絶対あると思う。
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