こたつむり

SPECサーガ完結編 SICK’S 覇乃抄 ~内閣情報調査室特務事項専従係事件簿~のこたつむりのレビュー・感想・評価

4.0
★ 膨らんだ黒 萎んだ白 弛んだ赤
  どれも君で どれも君じゃない
  風が吹けば全てが混ざり 全てが終わる

おう。面白くなってきましたよ。
馴染んできた…というのか。役者さんが掴んできた…というのか。考えてみれば『恕の抄』は全部で3時間程度。連続ドラマで言えば、まだ序盤なんですよね。

つまり、ここからが本番。
主人公である高座と御厨に敵対する組織も見えてきましたからね。やはり、物語を際立たせるのは敵方の存在。今回で言えばインナープラネッツ。味があります。水金地火木土天海海。

あと、時折『ケイゾク』ネタが入るのは反則級。あかんです。泣けますです。特に近藤係長のエピソードは…ねえ。

あれから20年近くが経つんですね。
近藤係長の設定は1960年生まれ。そろそろ定年退職が近いのですね。まさか“蕎麦屋勧進帳事件”の名をもう一度耳にするとは…。歴史の積み重ねが物語に味わいを与える…好例ですね。

ただ、唯一、気になったのは、風呂敷を拡げ過ぎていること。最終シーズン『厩の抄』も3時間程度だとしたら、キチンと終わらせることができるのか。まさか、これまでと同様に「最後は映画版で」みたいに逃げたりしないですよね。

折角、前作の『SPEC』は綺麗に着地したのですから(賛否両論あるとはいえ、拡げた風呂敷をキッチリとたたみ、まさに文字どおりの切ない…つまり気持ちが“切れない”終わり方は最大限に評価したいです)。

あえて、そこに手を突っ込んだ以上は。
キチンと着地してもらいたいもの。
植田プロデューサー、頼みますよ。

まあ、そんなわけで。
敵方の頑張り(特に佐野史郎さんと波岡一喜さんが頑張りました)でググッと面白くなったシーズン2。不安はありつつも、期待を抱きながら最終シーズンに臨みたいと思います。

最後に余談として。
『ケイゾク』『SPEC』そして本作。この3作に共通して言えるのは主題歌が尊いこと。特に本作の幻想的な曲調は個人的に一番好きかもしれません(テーマソングで言えば『SPEC』のほうが尊いのですが)。アルバムは出さないのかな。
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