ケンタロー

シークレット・インべージョンのケンタローのレビュー・感想・評価

2.5
なんだこの尻すぼみ感は… *
いや、むしろ展開的にはすぼまっては無くてガバガバか…w ポリティカルサスペンスとして良作になるハズだったのに回りくどいアホな侵略が水を差し、テーマや意義を無視したかのように最終的にはひたすら暴力を振るうという破綻。

とにかくシナリオがよろしくない!

良かったのは1・2話までかな。特に1話はご時世的にも刺さるモノが感じられたし、政治も戦争もフェイクが蔓延る世界において誰を信じれば良いのか?という世界に渦巻く不安をよく表現出来ていた。加えて、他種族(他人種/他民族)や移民という、これまた今も人類が抱える難題への訴えもあり、このドラマのテーマや意義はわりとストレート且つシンプルでポリティカルサスペンスとして描けば演技派のキャストの力と呼応して、まず面白くなるであろうという予感を充分に感じさせてくれるものだった。

特にニック・フューリーとタロスの共闘、掛け合いは見応えがあったし、ソーニャのキャラクターもパンチが効いていてグッド。グラヴィクにしても最終話でのニック・フューリーとの対峙は熱のこもった演技が素晴らしかった。

この手の物語はとにかくリアリティこそが重要であり、小さな矛盾や不合理が重なり続けると破綻してしまうのだが、いろいろと腑に落ちない展開が続くあまり「なんでだよ?」のイライラレベルがぐんぐんと上がり続けて最終話まで来てしまった…。

【以下、ネタバレありです】

度々陥る第三次世界大戦勃発の危機においては、例えば潜水艦のミサイル発射の権限を持つ幹部の方に擬態しろよ、いやそもそもどっかのタイミングで米国大統領に擬態しちまえば判断仰ぐ必要性も無いのに…アホなのか?と邪念が邪魔してぜんぜん話入ってこん。ローズ大佐を捕らえて擬態出来る潜入度合いなんだから、割とチャンスは多いと思うんだけどな〜。

で、このローズ他、捕らえられてる各国の要人たちなんだけど、もしグラヴィクが言うように放射線濃度が高くてみるみる内に被ばくしていくのなら、スクラロスに捕らえられた要人たちの被ばくはどうやって防いでんの??? 地下とは言え汚染はされてるだろうし、別に防護服も着てないし、あの拘束機器ってどんなに長期間拘束してても栄養補給とか排泄処理しなくても生命維持できんのか?いったいどうなってんだ?と細部のリアリティが欠片も無いんだよな…。DNA情報だけで一瞬にしてスーパースクラルになれちゃうのも然り。

あと大統領襲撃後も放置されたタロスの遺体はなんのチェックもお咎めもなく、いつの間にかフューリーが持ち帰ってきてるし… んなわけなかろう!と言いたい。
と言うより、あんなんでタロスを退場させてしまっては、タロスが浮かばれないよ。グラヴィクとガイアの言うとおりになってしまうし、それでもタロスの信念や意思というものが若いスクラル人になにかしらのメッセージを遺すカタチを見せてほしかった。

とにかく終盤はスクラル同士で殺し合い、フューリーも簡単にスクラル殺すしでまったく救いが無くて、グラヴィク対ガイアもひたすら力で捻じ伏せるスタイルで唖然とした。

いっそのことシークレットインベージョンに関してはマルチバースで実は異なるアースのお話だったんです!って感じにしてもらいたいぞ…笑

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