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サイレン シーズン1のhiのレビュー・感想・評価

サイレン シーズン1(2018年製作のドラマ)
4.5
サムネイルに惹かれて何気なく見た1話に見事に引き込まれた。
血塗られた人魚伝説で賑わう町と、秘密裏に行われる軍の新種生物の研究、そして町を彷徨う1人の喋れぬ少女。

神話の中の野生的で恐ろしいモンスターとしての人魚を描くのかと思いきや、本作の人魚は人間より賢く逞しく、DNAにも力を秘めた未知の知的生命体として描かれる。
「彼女を研究していたつもりが、研究されていた」
彼女たちの恐ろしさと賢さがよくわかる良いセリフだ。
そして、人魚はあくまで防衛本能として“魅了の歌”を用いる。本作も含め、いくつかの伝説上でも人間はそれを愛だと思い込み夢中になるが、本作の人魚は己の命を守るために歌っているという。このすれ違いが哀れで、しかも身近に感じてしまい辛い。

魅力的なリン。最初こそ見知らぬ文化と人々に敵意を向けるが、次第に好奇心旺盛に人間の文化を学んでいく。人間にとってはリンの存在は好ましいゆえ、彼女が今後利用されてしまわないか心配でならない。いっそドナのように人間を憎んでくれ……と何度も思ってしまう。
カップルと暮らしているため仕方ないのだが、リンが純粋な好意の挨拶として「愛してる」と唇へキスをすることを覚えてしまうシーンは微笑ましい。
個人的にはリンとマディの絆が好きだ。しかしマディとリンへの好感度が上がるにつれて、ベンの言動に腹が立ってくるのがこのドラマの玉に瑕。頼むぜ主人公!

ストーリーには中弛みもなく、一つの問題が片付くと途端に次の問題が浮上してくるので飽きにくい。
シーズン1の4話でいったん区切りがついたかと思いきや、町の歴史を揺るがすような大きな問題へと事態は発展していく。

劇中歌も素敵だったし、エンドロールでも流れる「サイレーンの歌」も耳に残る。
この歌声の虜になってしまったベン、次シーズンでどうなるのだろうな……
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