滝和也

相棒 Season 11の滝和也のレビュー・感想・評価

相棒 Season 11(2012年製作のドラマ)
4.1
喧嘩っ早くて熱血。
心には純粋過ぎる
正義を持つ若き相棒、
甲斐亨登場!

三代目相棒が異能の男
杉下右京との絆を
生み出すシーズン11。

「相棒 season11」

相棒の中でも、最も経験のない若手であったカイト君が初登場するシリーズです。その出会いの舞台も異端なら、異能の天才、和製シャーロック・ホームズ杉下右京が彼をスカウトすると言う意表をついた展開からスタート。何故スカウトされたのか…それはカイト君が純粋な正義を持つ青年だったから。その姿を信じ、好々爺の様に見守る右京さん(^^)真実を解き明かす事で、時には厳しい現実を見せ成長を促します。

その姿は他の方も語られていますが、父親の様。また実際の父親である甲斐峰秋警察庁次長も登場。長らく不在だった官房長のポジションに嵌ります。しかし、純粋な正義を持つ心に一抹の影を落とすのがこの親子が圧倒的に不仲である事。出来の悪い息子として扱う父親、反発する息子と言う…。この右京さんと次長の存在が若き相棒カイトくんに立ち塞がる壁として、また導く矢としてシリーズの縦軸になっています。

登場の舞台は香港日本総領事館と言う異端なスタートである第一話「聖域」。カイト君の自己紹介さながらの内容。更に若き相棒に杉下右京が実力をみせつける前半部がスタート。成長の始まりは自らの力を認める事、そして尊敬できる存在を感じ学び始めること。それを感じさせるのが、コメディ回で大胆不敵な推理を右京が見せる「オークション」、カイトくんが自らのミスを認める「ゴールデンボーイ」、父を含む上級官僚が立ち塞がる「バーター」、真実の中に辛さがある事に気付く「交番巡査甲斐亨」、自らの警察官の正義が命の危機を呼ぶ「森の中」「猛き祈り」の前後編。そして自らのミス、自らの影の部分が大きな失敗を呼ぶ最終話「酒壺の蛇」。若き相棒が右京さんに導かれ、真実と言う辛い現実と対峙し、時に大人である父甲斐次長の力に叩き潰されながらも成長して行く姿を描き出していました。

また若さを活かした作品群も持ち味。歴代相棒で一番年齢の近い存在故に、毒父に同じように悩まされる高校生に共感する「バレンタイン作戦」や体力勝負の犯罪実証がある「シンデレラの靴」、姉さん彼女でCA臼井悦子さんがいることで合コンが事件を呼ぶイタミン回「オフレコ」。

コメディ回もバランス良く入ってます。貧困故に自分を証明することすらできなくなる「ID」.定番幽霊見たさで右京さんがハイテンションになる一郎くん再登場回「幽霊屋敷」、こちらも定番陣川警部補登場「幸福な王子」、フェイスブック詐欺からヒントを得た事件てあり、落ちが豪快な「ビリー」と笑いから風刺が詰まった方向に変化する作品群がアクセントになってます。

その作品群の中でも本格ミステリー回である「アリス」がやはり最も好きな回。金田一であり、ホームズである杉下右京の名推理が光る回。将棋盤の駒がキーとなる「棋風」、そして今風のギミックである別々のストーリーが収束していく変化球ミステリーの「Birthday」とミステリー回は少ないながら光ります。

ただ、やはり親子の絆や家族の絆を何らか描いた作品が多く、それを通して甲斐亨の成長が中心に添えられた作品がこのシーズン、また三代目相棒の柱でしょう。男の子はいつか父親を超えねばならないと言う定番ながら、重いテーマなんですよね。この壁が高過ぎる故に…ですが…(T_T)

追記…ゲストが今見るとかなり豪華…賀来千香子、ともさかえり、北村匠海、葵わかな、広瀬アリス、波留、足立梨花、近藤正臣、加藤清史郎、星野真里他。若い相棒になったからか、若手の方々がかなり今ビックになってますね(^^) あ、田中圭も2回出てます…ブレイク前でしたが。
滝和也

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