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アンダーカバーのsoopenのレビュー・感想・評価

アンダーカバー(2021年製作のドラマ)
4.3
とても地味ながら良作だなぁと、しみじみ思っていたら、BBCドラマのリメイクでした。なるほど、手堅い所はBBCだけど、そこに韓ドラテイストとして、色々盛り込んでいるので、序盤で悪の元締めが分かっていながらにして、飽きることなく最終回まで、ハラハラドキドキしながら楽しめました。

1991年の学生闘争と20年後の現代とが、交互に描かれ物語は進みます。現代では二児の父として、自閉症の息子を支えながら、娘も育て、家事育児全般を務める傍ら、バイク店も経営し、人権弁護士の妻も労わる優しい完璧な夫、ハンジョンヒョン(チジニ)。しかし彼は過去に捨てた名前がありました。その名前で生きてきた職業は、国家安全企画部の要員、つまりスパイ。学生闘争で知り合った妻、チェヨンス(キムヒョンジュ)に一目惚れ。活動家のヨンスと仲間達に近付き、カリスマリーダーのキムテヨル逮捕を命じられたジョンヒョンは苦悩しつつも、自分の仕事を全うします。その後に起きた凄惨な事件。自殺?殺人?誰が殺したのか?現代では、なぜ未だに余命いくばくもない関係者が服役しているのか?
捨てた過去を拾い上げて、現代まで追いかけて、追い詰める元同僚、その奥には国家のため、と言いつつ私利私欲に走る巨悪の構造が複雑にも絡みついていた…
妻や家族に本当の自分を見せることが出来ずに20年を迎えるジョンヒョンはそれでも幸せだった。弁護士の妻が、高位公職者犯罪捜査所長(高捜処)に任命されるまでは。大統領の秘書室長から請われて、元学生運動家の妻は、国のために立ち上がる。しかしそれを阻止しようと、過去からの因縁の闇が動き出し、妻や家族を守るためにジョンヒョンも隠れて動き始める…

チジニの若い頃にヨンウジンが、キムヒョンジュの若い頃にソナ(違和感全くなし)が扮していて、ヨンウジンのアクションがなかなか見応えがあります。チジニはあのズッシリした筋肉で安定のアクションが年齢を感じさせません。そして、なんとキムヨンデがキムテヨル役で特別出演しています!1話目から実は登場していました!相関図写真の中で。この写真が、私が見た中では、キムヨンデの過去一美しい写真だと思うのですが、本人が提供した高校時代の証明写真らしいのです。一瞬映っただけでもハッとなる程の美しさなので、キムヨンデファンで未見の方はぜひ、1話目だけでもご覧下さい!
キムテヨルは最後まで過去パートで、登場するキーパーソンで、あっと驚く仕掛けも施されており、本人自身が初めて演じた役で、胸が熱くなった、と言っていたようです。「殴るな!踏み躙るな!殺すな!」と叫んでいたのが印象的です。

チジニの役が、時代劇だったらお暇様を陰ながら守る武官だなぁと思い、切なさに胸が痛くなりました。現代のお姫様は、守られるだけを良しとしない強さがありましたが…
夫婦愛、家族愛、命懸けの友情、裏切り、正義とは何か、優しさとは何か?選択には代償が付き物なのか?考えさせられるドラマでした。そして、人という生き物は、善悪で割り切れない複雑な存在で、ちょっとしたきっかけで、思いもよらぬ行動を取ってしまう、危うさが常に付きまとうものなのかと。だからこそ、ブレない強さに憧れを抱くのかな…
ラストがもう一つ踏み込んで描いてくれていたら!と思いますが、充分満足です。

シュルプでケソン大君だったユソンホが自閉症の息子役でしたが、すごく上手かったので、彼のファンの方も是非!
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