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いりびと-異邦人-のlalalalabombaのレビュー・感想・評価

いりびと-異邦人-(2021年製作のドラマ)
3.8
美術界を舞台にした原田マハ十八番の小説が原作ということで氏の小説はストーリーが面白いが文体がちょっと稚拙な感じがするのでこういう映像でじっくり描写するのも面白いと思う。
美術界そして京都という知らない人には閉鎖された別世界の話なのでその辺も興味深い。
最近意識高い系の発言で色んな意味で注目されてる松尾が文字通り裏表の本性を表してるようで皮肉っぽい
その他娘の旦那と寝てる美人の母(コデマリさん)深追いするなという美術評論家(ケンジの務める美容院の店長)そして怪しい過去を持つ画家(井の頭五郎)などキャスティングも面白い。

NYのMOMAでモネの睡蓮を見ると誰もが屏風を連想すると思う。印象派の画家たちは日本を想って描いていたと聞くが、まさにその通りではと思うシーンがあった。

キャスティングの中で唯一違和感があるのが主演の高畑だ。
どうも妊婦には見えないのだ。(一般的には可愛いキャスティングと見られるだろうが、)実は彼女は京都人以上に裏表を上手く振る舞う女性であるとしたら、あの演技は違うんではと思う。
何しろ共感が得られないのだ。
金持ちの孫娘が可愛いふりしてしたたかに生きて羽ばたくというのだろうか、いやそれとはちょっと違うだろう。
もっとややこしいことは表に出さず波風立たぬようにしておかないと…。
全部で5話一気に観ることが出来る長さで静かで深い物語。
ラストに血縁関係まで上手くまとめるのはやりすぎだとおもうが、芸術という美しい存在をビジネスというドロドロしたもので動かす表と裏の世界が京都という美しくも恐ろしい場所とマッチしていたと思う。
また京都に行きたくなってきた。スティングはイングリッシュマンインニューヨークと歌ったが京都に行けば誰でも異邦人になれる。
美しい絵画と京都の街その裏の怖いお話。
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