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SHOGUN 将軍のrensaurusのレビュー・感想・評価

SHOGUN 将軍(2024年製作のドラマ)
4.6
時代劇×異文化交流の展開に、異国文化ではなく自国文化にカルチャーショックを受けることになるという面白いシステムの作品だった。

視聴者の多くは日本人ではなく主人公の一人であるイギリス人の安針に感情移入することになると思う。そして彼と共に日本の文化に驚嘆するのだ。

しかしながら、その異常とも思える日本人の死生観・精神世界は、間違いなく風土に根付き、長い月日を経て培われた文化・慣習であることを丁寧に描写しているだけでなく、その様の変わりように我々がいかに西洋思想に侵食されているのかを改めて実感させられもした。

詳細に再現された日本描写を観るだけでも意義を感じ、忘れていた日本人の真髄を垣間見たような感覚がある。

そして最後には安針が確かに日本人になっていく様子が描かれ、日本への帰化を追体験することができる。

その長となる吉井虎永の、風を読む深謀遠慮は、まさしく「日の本の将軍」たる精神性を体現しており味わい深かった。

今作の美点は的確かつ説得力のある配役と細やかで耳触りの良い言葉遣いだと感じる。特にアンナ・サワイの存在感と、いなくなった時の喪失感が大きく、物語に欠かせないキャラクターだった。二階堂ふみもド迫力。セリフに関しても、日本の発声の美しいところを発揮しつつ、違和感のない言葉回しだったので集中が切れることなく鑑賞に堪えた。

あと驚いたのは結構な人体破壊描写を躊躇いなく映すところ。あの生々しさがあるからこそ死生観の描写が活きていた。

兎に角、こんなにも高品質な時代劇を観ることができてとても嬉しかったです。真田広之大好き〜。
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