Kakutani角谷

SHOGUN 将軍のKakutani角谷のレビュー・感想・評価

SHOGUN 将軍(2024年製作のドラマ)
3.0
前評判が高かったかつ、真田広之ファンなので期待しすぎた。GOTと比較するのは、いくらなんでも過大評価。

リチャード・チェンバレン主演版のオリジナルのトンデモさと比べると、真田広之の監修での頑張りはすごいし、数話盛り上がるエピソードもあったが、予算に限りあるリミテッドシリーズの限界みたいなのも感じてしまった。

殺陣シーンは撮り方が下手すぎて全然見応えないし、見せ場となる合戦シーンも省略されていて、会話劇が延々と続き、盛り上がりに欠ける印象。

重厚な画を作ってみたものの、予算が足りなくて合戦シーンの演出から逃げた感がありありなんですよね。多少チープになっても時代劇、史劇好きとしては、そこを逃げて欲しくなかった。
同じように予算に限りがある歴史ドラマでも『スパルタカス』や『ラスト・キングダム』あたりは合戦シーンを撮ることの難しさから逃げていなかった。そういう態度は潔い。

クラベルの原作にそこまで拘る必要があったのか? そこに縛られるのはどうか?

長物(薙刀など)が得意な真田さんの殺陣シーンももっと見たかった。
刀の捌き方や残心の美しさはさすが真田さん、なのだけど。

女性の主体性が前面に押し出されていたのは斬新でしたが。

登場人物がやたら切腹しまくるのには失笑。死にたがりの多さは隆慶一郎の小説『死ぬこととみつけたり』か? レベル。
僧侶が念仏唱えて火葬しているのに、周囲を鳥居が囲んでいる神仏混淆シーンも笑えた。

最近のハリウッドの流行りなのか、映画でもドラマでも時系列を乱すのが高尚な演出、みたいなノリにも食傷した。

あと、真田広之、コスモ・ジャーヴィス(『説得』ではイマイチだったのに! )の演技が良かっただけに、個人的に浅野忠信の演技が苦手すぎて盛り下がりました。この人、所作も含めて時代劇に向いていないと思う。薮重役自体は美味しい役なのに。

ハリウッド凄い! みたいなノリの批評ありましたが、時代劇好きの私はこの作品を観て、改めて黄金期の日本の時代劇の凄さを痛感しましたよ。あの自由闊達さ、奔放さ、勝新太郎、市川雷蔵らが活躍していた時代が懐かしい。

まあ、エミー賞ウケはしそうだけど。最近のエミー賞受賞ドラマ、個人的に苦手なんですよね。

キリスト教勢力関連に関しては、ポルトガル語と英語が同一言語として描かれているのにはポルトガル人もびっくりだw

日本が日本人俳優を使って、きちんと描かれていて素晴らしい、という批評に対して、ポルトガルという他国が雑に描かれていることに疑問は湧かないのか、色々考えさせられる。