Asino

SHOGUN 将軍のAsinoのレビュー・感想・評価

SHOGUN 将軍(2024年製作のドラマ)
4.5
4/23
書くの遅くなったけど「将軍」完走しました。
一言で言うと漂着したイギリス人航海士(コズモジャービス)(当然背景にスペイン、ひいてはカソリック列強と対立しているイングランドという構図がある)の目で描く、関ヶ原前夜の家康と光成の対立の状況。
たまたま漂着したのが家康配下の土地だったため、彼は家康(真田広之)に会うことになり、通詞として細川ガラシャ(アンナサワイ)と行動を共にすることになる。
家康以外の大老は大阪に集結しており、秀吉の世継ぎとその生母は光成側、大老のうち二人はキリシタンでカソリック、圧倒的に家康不利に見えるのだが、家康は戦を避け時を稼ぎ、策略をもって状況を変えていく。

フィクションで、劇中ではキャラクター名全部違うのですが(家康は虎永さま、細川ガラシャは鞠子さま)、明らかにもとになっている歴史上の人物がいて、日本人には圧倒的にそっちで話す方が飲み込みやすいと思う(笑)(鞠子さまは光秀の娘、つまり細川ガラシャか!ってわかったとき最初からそういって!って思ったわ)

それにしてもずっと死について話している話だった。というか..。
静かに座して策略をめぐらす虎永というキャラクターの周りで、それを察した忠実な部下たち(あるいは意に反したものたち)が次々死んでいくわけだけど。
イギリス人の目には最初異様に見える日本人(というか武家の人たち)の「死」の概念というか美学、を目にした安針が、その通訳をする、ずっと「死ぬことを許されなかった」女性(しかもキリシタン)とのやり取りの中で、次第にその意味を理解していく話。

「死を賜る」なんて言葉が美化されるのもどうかとは思うけど、まあそれはこのファンタジー世界の中なので。(忍者と一緒で、「これが日本の美学✨」とか誤解されそうな気もするが。ドラマの評価がすごく高いので若干心配になる)

最初は「わあ日本語がちゃんとしてる!」「衣装も所作も小道具も間違ってない!」とかってレベルで喜んでいたのが、絢爛豪華な衣装(色味とかはたぶん西洋センス)や当時の大阪や江戸を再現したCGなどに「お金かかってる!」になり、そのうち対話の場での「茶の湯」の嗜みや教養としての歌とその返し、みたいな内容になって(ガラシャの夫細川忠興(劇中では戸田文太郎、阿部進之介)は千利休の一番弟子(という言葉もなんか合わないけど...))、しみじみ感心してしまった。

異文化の中で相手の言葉をどう「通訳」するか、という点もすごく面白いところで、鞠子さまの意訳天才だな。と思いながら聞いていました。

結局合戦シーンなし、まさに「決戦前夜」の話だったんだけどすごく面白かった。
もちろん「そこもっと詳しく!」なところは山ほどあるけどね...。
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