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SHOGUN 将軍のSQURのレビュー・感想・評価

SHOGUN 将軍(2024年製作のドラマ)
5.0
最高。

終盤に進むにつれてもう頭の中が「え、すご! この映像すごい! この演技やばい! え、すごくない!?」でいっぱいになって、もう頭に中で言葉でここがいいとか理解するのが無理だった。

戦国時代ものとしては珍しく(?)戦争戦術的な策略描写がほぼなくて、政治的なコンゲームがメイン。そしてコンゲームの果てに宿命概念に対する人間の絶対的な無力感と、そしてそれと相反しながらも両立する力強い自己決定(宿命を”切り開く”)が描かれる。

特にラスト3話くらいの主要登場人物たちの演技合戦がすごい、表情や所作が覚悟決まってる。これ見るっきゃないよ。歴史もの興味なくてもその激情とか哲学で絶対好きになる。
関ヶ原の戦いをモチーフにしたドラマだけど、メインテーマは「信仰と翻訳」。大衆的な信仰の概念が、過酷な運命(劇中では宿命と呼ばれる)を前にして、一人ひとりの登場人物のなかで「成る」(=私的な翻訳)、その瞬間を映しとっている、すごいドラマ(すごいしか言ってない)。
原作はかなり古い作品なので、オリエンタリズムと言えなくもない表現もあるが、徹底した役者への信頼と、登場人物の「覚悟」を描こうとすると姿勢でもって、なんら言い訳をすることなく、そういった価値判断を枠組みを超越しているような映像作品。
映画やドラマすべてをひっくるめた今年度の映像作品の中で、おそらくマイ・ベストになるだろうと思う。

主演の真田広之は一挙一投足からして、渋い、美しい、かっこいいで見惚れてしまう。
今泉力哉映画でもおなじみの穂志もえかさんが出てくる。見た目の印象からはふわっとしてそうに見えるんだけど、ドラマが進むにつれて鋼のような芯の強さが見えてくる。それがすごくかっこよくて、さらに好きになってしまった。
物語の中心となっていく女性陣が、三者三葉に信念貫いている感じ――それはもちろん近代的な自我としても自主自立ではないんだけど――魂をかけている感じもすごくて絶句。
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