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ハウス・オブ・ザ・ドラゴン シーズン1のBOBのレビュー・感想・評価

3.8
『GOT』から200年前のウェスタロスを舞台にした、王位継承権を巡るターガリエン家の政治・家族ドラマ。

🩸🐲🩸🐉🩸

遅ればせながら。先程、ゴールデングローブ賞ドラマ部門で作品賞を獲得したらしい。

完成度が高いのは分かるが、期待していたほどは楽しめなかった、というのが正直な感想。シーズン2のための壮大な前座なので、シーズン2を観てみないと判断できない所があるのは大前提。

会話劇中心、静的、スローペース。観客の予想を裏切るドラマチックな展開や、思わず興奮してしまうようなダイナミックな映像はほとんどない。『GOT』のような、メインキャラが次々と死んでいくサバイバルゲームを期待していると肩透かしを食らう。ウェスタロスの圧倒的な世界観は健在。

自分が乗りづらかった原因は、これといって好きになれるキャラクターがいなかったことと、暗く地味な映像が長いこと。シーズン中盤にあたる3~6話辺りは、映像だけ豪華なソープオペラを観ているような感覚に陥ってきて、興味を保つのに苦労した。

7話から少しずつ話が動き始める。8話以降は、様々な人間の思惑が交錯する裏切りと残虐の『GOT』が帰ってきた感があり、シーズン2に期待が持てるぐらいまでには盛り返してきた。

大きなテーマは、愛か種の生存か。女性の王位継承権を認めるか否か。王位継承で重視すべきは血筋か名前か。キーワードは血。

興味深かったのは、レイニラとアリセントの関係性の変化。初めは親友関係🤝だが、立場の変化と共に、完全な敵対関係とまではいかないが、ギスギスしていく。

印象的だったのは、生々しい出産シーンが多いこと。見るのが辛くなるほど、泣き叫ぶし、多くの血が流れる。出産の大変さと同時に、生まれてくる新しい生命の尊さを痛感した。また、"跡継ぎを産むことが女性の務めである"という古い価値観の有害性みたいなことも強調されているように思う。

一番魅力的なのは、限られた登場シーンを確実にモノにしていくドラゴンたち。

驚いたのは、主要キャラを演じる俳優が、シーズン途中に交代したこと。ちょうど好きになりかけていたタイミングでの交代だったのでかなり戸惑ったが、最終話まで観てから考え直すと正しい決断だったように思う。若い俳優に老けメイクをして続投させるのには限界がある。

ターガリエン家の女性キャラを演じる俳優はどことなくエミリア・クラーク味がある。童顔というかかわいい系というか。レイニラの子供時代を演じたミリー・オールコックが好きだった。日系のソノヤ・ミズノも出演していた。











 
✍ネタバレ込みメモ✍

1. 跡継ぎ誕生記念馬上槍試合と、帝王切開による出産のクロスカット。血なまぐさい。初ドラカリス、炎の使い道。Ice and Fire♪。城の模型のクオリティが高い。

2. "ターガリエン家の血"コンセプトのプレタイトルシークエンス。世継ぎに任命されてもお茶汲み。父娘問題。独り身となった王の再婚問題。ウジ虫治療。王女レイニラには、生粋の王の素質。

3. ラニスター🦁。結婚を巡る年頃の娘と父親。二人共迷いを払拭するかのように殺生し、🐗🦌血を浴びる。🦀軍団と全面対決。

4. 結婚は職務だが、欲望を捨てる必要はない。レイニラ、叔父に連れられ娼婦館へ。禁欲から開放される。よりペースダウン。

5. ターガリエン家とヴァレリアン家。愛か職務か。

6. レイニラ役とアリセント役の俳優が交代。レイニラは子宝に恵まれた母親に。レイニラ王女vsアリセント王妃の母親バトル。初めから割り切った、形だけの夫婦生活。出産、出産、出産🩸。Bastard Bastard Bastard。愛とは破滅への道。跡継ぎを残せない女の価値。

7. 生まれ付き生きる道を定められている王族の子供たちの苦労。職務に無関心、責任感皆無。Bastard内紛。お馴染みの近親婚。収まる所に収まった感。ターガリエンの血が流れる。恐怖心を与えられない王は弱い。

8. プレタイトルシークエンスがスピードアップ。「近頃、鉄の玉座に座るのは王ではないぞ。王妃だ」。戦の気運が高まり外交ドラマへ。ターガリエン一家が"平和王"の元に集い、最後の晩餐。

9. 新たなる王の誕生。エイゴンは予想以上にクソ野郎。王の自覚?立場が人を作る?

10. ターガリエン家の内戦「双竜の舞踏」のセッティング完了。
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