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Mr. & Mrs. スミスのmorettiのレビュー・感想・評価

Mr. & Mrs. スミス(2024年製作のドラマ)
4.5
ドナルド・グローバーとヒロ・ムライによるドラマ「アトランタ」(観てない)コンビの最新作がアマプラにやってきてた~!
一時期「This Is America」のPV観まくってました。

ブラピ&アンジーの地獄ヒストリーのはじまりである映画にインスパイアされたっぽいリ・メイクの「Mr.&Mrs.スミス」、全8話を完走。
わたしの生活圏内にはこのドラマに関する評判がほとんど届かないですけど、これ、なかなか、いやかなり面白かったです。
 
正直、1話目2話目くらいまでは面白いことは面白いけど、その面白さの本質がうまく掴めずにいたけども、次第に作り手の魂胆がわかってきたらオモチロイ!となりました。

元になったブランジェリーナ笑の映画を観てないんでどのようなアレンジがなされてるのかわからんのですけど、見知らぬ男女が夫婦に扮してスパイ活動をするというプロットは建前で、蓋を開ければこのドラマは夫婦倦怠コメディ!
大ネタ元のヒッチコックの「スミス夫妻」とも通じてます。
 
社会的存在である男と女が、(マッチングアプリ的に)出会い恋に落ち夫婦になり揉める、というコメディで、その描写のカジュアルさとリアルが共存しつつ機知に富んでいて絶妙なバランスで、その夫婦であるドナルド・グローバーとマヤ・アースキンの掛け合いが面白くて、相性ばっちりのナイスキャスティングであることが肝要です。
いわゆる美男美女ではないですけど、それぞれに愛嬌というか人間的な凸凹があってね。その人間性がふたつ、どう化学反応を起こし変化していくのかが本作の骨子です。
 あと物語のはじめの2人が、人生に行き詰まっている(めっちゃ金欠)というセッティングもいいです。

スパイものとしての諜報活動は意図的にはっきりと荒唐無稽で「おいおい」と突っ込みつつ楽しむ感じなんですけど、メインの出会い~結婚~倦怠~別居~?という、きわめて普遍的なオハナシが全8話で過不足なく語られていて、トラジコメディといっていいかな?
すべてのパートナー関係にある人々の細かい“あるある”を練りこみながら、スパイとしても追い込まれていく…というエンターテインメントにもなっていて、最後は、ちょっと思わずグッときましたことですよ。
 (涙のこぼれるタイミングよ!)

各話がゆるやかに繋がりつつ独立していて観やすいし、スミス夫妻という仮初の絆が変化していく様をテンポよくコミカルに諜報活動に絡めて見せていくのが上手くて、婚姻関係を継続している者としてはいくつかの気づきもあったし、このドラマが巧みに結婚制度とそれを包括する社会とそれに対する人間個人という視点を獲得していて、作り手の知性にサムズアップしたりもしましたよ。
夫婦で自営業やっていたりする人なんかは、特にノレるんじゃないかと思います。
 
豪華なゲスト(と思うかどうかは人に拠りますが笑)の面白い使い方も楽しくて、第1話の冒頭の前スミス夫妻は笑えるし、ヌルっといることで何か不穏を醸し出すポール・ダノ!ポール・ダノはいい役者だなー。好きダノ。
 
最初はあんまり有能ではない感じのグローバーとアースキンの諜報活動も適度にスリリングだし何気にスキルもジャンプアップもしていたりして、そこは連続ドラマならではの見せ方。ジャンル映画好きには最終話の回転ドアトラップには超テンション上がりましたし、「いつの間にそんなテクを…」と感動したり。

すべてにおいて、作り手の面白いと思うことがちゃんと機能していて、なんちゅうか、粋でしたね。
プロダクションデザインも気合い入っててちょっとは憧れますわ。
音楽使いも素敵です。

物語のラストもきれいに収まっているけど、ヌケヌケと続編もできそうな感じ。確かマズルフラッシュは3つだけど…
続編観たいなー。観して〜。
 
あとわたしはドナルド・グローバーが好きなので、彼のランド・カルリジアンはもうちっと観たいし、ヒロ・ムライの映画仕事も観てみたい。
それからマヤ・アースキンさんがめちゃよかったなぁ。アジア系ということもあるけど、今までのタイプキャストをひっくり返すようなバランスのキャラクターでした。
あと2人とも何気に色気があるだわ。
 
そうそう、1日5回も電話するのはあれですけど、母親を大事にしようと思いました。
Hihi!
moretti

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