河

ピースメイカーの河のネタバレレビュー・内容・結末

ピースメイカー(2022年製作のドラマ)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

面白かった。『ザ・スーサイド・スクワッド』で大義を掲げられれば疑問なく体制に従ってしまう人物、自分で考えたのではなく他者に与えられた信念を元にしたキャプテンアメリカとして描かれていた人物が、なぜそのようになったか、どのようにそこから抜け出すかについて。

ここでは父がアイアンマンとして科学力を持ち、自分達が優れているというナルシスティックな根拠の元に他を暴力的に支配しようとする。根本的には異星人達も同じで、異星人達は自分達のようにならないようにより良い方へ向かわせるために支配しようとする。

主人公は洗脳的にその父の思想を植え付けられつつも、異星人や父に対して人間的な欠陥を抱えている、それを自覚しつつあるという点で異なる。主人公達はその欠陥を互いに自覚することを通して結束し、それを元にインクルーシブな考えに至る。それによって異星人たちや父の大義を元にした支配を乗り越える。

ヴィジランテの他者を思いやろうとする一方で、他者への想像力を決定的に欠いていてハイコンテキストな会話ができない、言葉の奥を読み取ることができないというキャラクターが非常に好きだった。最終話のポストクレジットがこのドラマで一番好きなシーンかもしれない。

『ザ・スーサイド・スクワッド』と併せて、最悪アベンジャーズを批判的に作り上げてそれをガーディアンズオブギャラクシーの理想、世界観に着地させた話なんだと思う。
河