ラストには、ほろ苦く、熱い涙が浮かぶ。
そして深い深い余韻が残る。
いぶし銀の輝きをにじませる西部劇。
「刃物と銃が物を言う 神のいない国だ
(It’s godless country.)」
1話、冒頭5分、オープニングクレジットだけで直感が告げる。
この作品はイケる。
スコット・フランク監督は裏切らない。
1884年、ニュー・メキシコ州、ラ・ベル。
「女だらけの町」
ひとつひとつの画面の完成度が高い。
ホンモノの、重厚な美しさが際立つ。
いぶし銀、言い換えるなら、セピアがドラマの基調になる。
ひとりひとりの過去が、丹念に描かれる。
悪党グリフィンさえも。
「人生は厳しい」
ままならない環境。
ままならない感情。
抱えながらも、過酷な人生を生き抜いてゆく。
登場人物全員が主人公と感じられるほど、掘り下げてゆく。
人間ドラマとしても、深い輝きを放つ。
良い例として、「人々が一番幸せな時を描きながら、見る者を泣かせる」という、はなれ技の演出を見せている。
しかも時系列的には、エピソード1になるものを、6に敢えて持ってくる。
見る者に「今」を知らしめた上で、過去を語る。
同じ映像でも、意味が全然違ってくる。
しかもそれをラストの直前に持ってくる。
ネタバレに抵触するかもしれないので、詳しくはエピソード6のコメントに書き込んでおく。
『ダウントン・アビー』の貴族のメアリー・クローリー役のイメージが強い、イギリス俳優ミシェル・ドッカリー。
アクセントもたたずまいも、カッコいい西部の女にしか見えない。
「いつも顔を上げてる」
西部劇という形を借りた、群像劇、人間ドラマ。