モカ

DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機のモカのレビュー・感想・評価

4.0
原作はアメリカでベストセラーになった同名のノンフィクション。
ドラマを見つつ一応本書も軽く目を通したが、一部は実在の人物、一部はドラマの架空の人物のようだった。

現在でもアメリカを蝕む鎮痛剤依存症ブームは、
巨大製薬会社パデューファーマがその強い依存性を知りながらも、意図的にデータを偽造し販売を続けたのがきっかけで、郊外のいわゆるラストベルトの小都市を中心に始まっていた。

最初、肉体労働者の怪我など痛み止めとして処方されていたオピオイド鎮痛薬オキシコンチンは、当初1%以下の依存性で安全と謳われていたが、
実は50%もの依存性を持つ強力な麻薬類似薬だった。
しかしその莫大な利益のために製薬会社を経営するサクラー一族は、真実を隠してあの手この手で販売を促進し、さらに依存症患者を生んでいく。


田舎町の気の良い医者、フィニックスに名優マイケル・キートン、街に住むシャイな炭鉱少女に注目の若手ケイトリン・デヴァー。
最初はこの二人を中心に話が進み、次第に州検事やDEAがその危険性に気付き、巨大製薬会社の陰謀を暴いていく。
DEAの敏腕捜査官、ロザリオ・ドーソンも素晴らしく、すっかりファンになってしまった。


現在進行系の鎮痛剤依存ブームのため、すっきりとしたエンディングにはならないが、
「コロナウイルスよりも死者を出した鎮痛薬依存症」と言われるもう一つの危機を知ることのできる、貴重な社会派ドラマだった。
モカ

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