リーフマン

ある結婚の風景のリーフマンのネタバレレビュー・内容・結末

ある結婚の風景(2021年製作のドラマ)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

こういう男女の別れ話を会話劇にした作品はオリジナル版のある結婚の風景はもちろんのこと、アニーホール、クレイマークレイマー、レボリューショナリーロード、ブルーバレンタイン、別離、マリッジストーリーなど古今東西で作られてきた。最近だと花束みたいな恋をした、もこの破局ものとでも言うべきジャンルに入るだろう
これらの作品を見てると別れ話はいつも女性の側が唐突に切り出す印象がある
男性は突然のことに慌てふためきなんとか対話して関係を取り戻そうとするが女性側の意思は固く時すでに遅い
本作のジョナサンは働く妻ミラを支え子育ても家事もする良き夫だ
しかし1話でミラが妊娠した際にミラのキャリアや二人目になることを鑑みた上でミラの中絶という判断を尊重する
ジョナサンは対話してミラの意思を優先したつもりでも妻としてはいくら状況が悪くても産んで欲しいといって欲しかったはずだ
そして第2話でジョナサンからすると(唐突)に別れを切り出されてしまう
男性は話してくれないとわからないと思うが女性は言葉にしなくてもわかって欲しいと思う
愛し合ってはずの二人が思い描く幸せの違いで話せば話すほど相手を傷つけてしまうのが見ていて辛い
しかし本作のミラはロンドンに転勤するから夫と子供についてきてと言ったり浮気相手であるポリと別れたからまたジョナサンに近づいたりといささか奔放が過ぎないか、と思ってしまった
思い返すとクレイマークレイマーでも別離でも大概男性の仕事などの都合で女性は振り回されていたが時代が変わり男女平等の今それはあり得ないのがわかっていてもバイアスがかかって自立したミラを奔放だと思ってしまったのだろうか
しかし本作のジョナサンは従来の破局ものの仕事人間の夫と比べ妻のことを思いやり寄り添うとても現代的でジェンダーフリー的に良き夫だったと客観的に見て思う
もしジョナサンがミラの意思に関係なく産んで欲しいと頼めばそれは時代錯誤な男権主義の夫になってしまうのではないか
だからと言ってクレイマークレイマーのダスティンホフマンも家庭を守るために必死に働いていたわけで別に妻を愛していなかったとは思わない
この時代や価値観に関係なく男女の間に普遍的によこたわるディスコミュニケーションをなんとか乗り越えるために数々の名作が生まれたんだろう