味噌汁

カウボーイビバップの味噌汁のレビュー・感想・評価

カウボーイビバップ(2021年製作のドラマ)
2.5
原作であるアニメシリーズの世界観を重視した作りになっていたのは良かった。
近未来的な街並みや登場人物の服装まで、2次元的要素を上手く現実に落とし込んだデザインになっている。
物語は原作で印象的だった話から満遍なく使用されているが、ドラマの尺もありオリジナル展開も多いので新規視聴者も見やすい作りになっていた。例えば主人公の相棒であるジェットは元妻だけではなく溺愛する娘がおり
、より親しみやすいキャラクターに変更された。スパイク自身もアニメとは異なる感性をもち、より賞金稼ぎとしてのイメージに近くなっている。
戦闘は銃撃戦こそあっさりしていたものの、生身での格闘は原作さながら見応えのあるシーンに仕上がっていた。
残念な点としては、やはりオリジナル展開故の改変が挙げられる。
宿敵ヴィシャスそして元恋人のジュリアはこのビバップの世界においてかなり重要であり物語の核として存在する。
ヴィシャスは冷静沈着で狡猾であり、カリスマ性もある。誰も信用せず、作戦のためならどんな犠牲をも厭わないまさにマフィアの体現のような人物。しかし過去の因縁を持つスパイクに対してのみ冷静さを欠いてしまう不完全さが魅力のひとつでもあった。
ドラマ版では、狡猾であるものの冷静さに欠けていて人間としての器も小さい。人間味が増したと言えばそれまでなのだが、原作の劣化コピーとしかいえなくなっている。
ジュリアもアニメ版では、スパイクの想い他人。劇中での一寸先の光として存在し、暗い影を落とす彼の儚い希望となっている。劇中の重要人物でありながら、描写を最低限に抑える事で高嶺の花としての魅力を押し出していた。
こちらもドラマ版では大きく劣化し、ただの性悪女と化してしまっている。
全体的に上手くまとまってはいたものの、どうしてもビバップにはなり切れなかったのはこうした中心の歪みによるもののせいなのかもしれない。
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