ゴトウ

仮面ライダーリバイスのゴトウのレビュー・感想・評価

仮面ライダーリバイス(2021年製作のドラマ)
1.0
とてもひどいものを見せられた。1クール目のワクワクでスコア1.0なだけで、こんなもんクソの中のクソ。シリーズ構成ダメ、販促番組としてもダメ、その場その場の面白さもダメ、ダメな番組のお手本みたい。平成ライダー開始以降20年続いてるのにこんなのが出てくるって、東映のせいなの?バンダイのせいなの?同じニチアサで途中からやってる『ドンブラザーズ』はあんだけ面白いのがまたよくない。バンダイ製品をねじこまないといけないのは同じなわけだけど、何でこんなに差がついているのだろう。「子ども向け番組なんだから」みたいな擁護を見かけたけど、子どもなめンなよ。こんなん俺が今5歳でも絶対に認めねェわ。「子どもだましと子ども向けは違う」って言ってライダーシリーズがリブートされたンだろうがよ。

大量に登場する仮面ライダーや追加形態のほとんどがプレミアムバンダイで製品化されるわけだけど、届く頃には番組が終わってたり、ストーリーから退場してたりするような売り方をここまで推す理由はなんなの?ベルト10本出てきて店頭で買えるのは2本だけって、いつから仮面ライダーは通販番組になったのよ。特にツーサイドライバーは完全に失敗作でしょう。途中から2パターンの変身ギミックを完全に殺し、強化形態は敵(と味方)に転がされ続け、「本当の最終形態」みたいなものが唐突に現れる(変身アイテム一般販売なし)。キックホッパーとパンチホッパーを切り替えながら戦う構想があったホッパーゼクターの再来みたいで面白くなりそうだったのに。濫造される新ライダーもリペイント・改造丸出しなことが多々あるのも冷める要因かも。

多すぎるライダーも扱いきれなければ、登場人物も扱いきれない。まずもって主人公・一輝がどういうやつか全然わからない。中盤とか、妹さくらとアギレラ、ウィークエンド周辺人物に尺を割きすぎて一輝がただの戦闘員だった。やたらに「おせっかい」と繰り返されるが、プロフィールを書くならそれだけ。一輝に限らず、誰がどういう性格の人なのかがわからないまま。一旦フェードアウト→復帰したキャラクターは特にそれが気になる。そもそも1話で死ぬ予定だったヒロミを人気だから続投させて変身させたとか、いわゆる「ライブ感」=行き当たりばったりとしか思えない部分が至る所に見える。カゲロウもなんの積み重ねもなく善玉化して、カゲロウを消滅させなければならない!という謎の展開にどういう意味があったのか全くわからないままなし崩しに味方になる。めちゃくちゃ強い登場人物の裏の人格が攻撃してくるけど、徐々に関係を築いて味方してくれるようになる…なんて、その過程を丁寧にやればやるほど盛り上がれるものだと思っていたけど、なぜかその過程部分を綺麗にすっ飛ばし、言ってもいないことを言ったことにして、やってもいないことをやったことにして盛り上がれ!と出されたところで、視聴者を舐めるなよとしか思わない。なにかにつけて積み重ねを放棄しているように見えるのは製作体制の問題なのか、なにもかも言葉で説明する(言葉で説明したら描写したことになる)という今風の作劇なのか?SNSでネタ扱いされたり人気が出たキャラをそっちに寄せて行くのも、一番つまらないからな。ヒロミに弓矢で戦わせるとかアギレラに変身させるとかもそうだろう。どうでもいいことばかり喋りまくるバイスも、最終回で空っぽ一輝とのバディがどうなろうがどうでもいいンだわ。牛島太助の死に際、橋本じゅんと矢芝俊博の場面は今作で見られる演技の中でも指折りの名場面だけど、

あとは定義が曖昧な用語を最後まで(!)説明せずに使い続けたのも信じられない。「悪魔」って何か?悪魔との「契約」は何なのか?悪魔は人に必須なのかそうではないのか?最後まで説明されることはなく、「悪魔らしくしろ」とベイルに言われたかと思えばバイスが「そもそも悪魔って何かわかんねーかららしくもなにもない」(こっちもわかんないんだけど…)と開き直ってみせる。「カゲロウが消えた」と言われたから信じて消えたと思ってたのに、「お前と俺はセット」「スタンプの中にいました」とか言われても納得できるわけねェだろ?バカなのか?一輝とバイスを除けば他の誰も悪魔と「契約」などしている様子もなく、突如最終回で「悪魔と離れないのは成長しないこと」(=悪魔と離れることで人は成長する)などと言い始める。どういうことなんだよ。意味わかんねえわ。そもそも「一輝がバイスを倒すことによって契約が満了」もピンとこないのだけど、変身回数に応じて一人また一人と家族の記憶を失っていた様子もないし、それまで「家族」の構成メンバーを一人ずつ忘れていたわけでもない。「家族の思い出」が消えて行くのであれば、バイスに関する記憶だけが欠けることなく最後まで残っていたのも意味がわからない。最終回だけで見ても10分くらいの中で死ぬほど破綻してるようにしか見えないんだけど、これがどう筋通ってるのか説明できる人いるんですか?全てが後出しジャンケンで「そう言ったからそういうことになる」の連続。感情移入なんかできるわけがないだろ。兄弟の仲違いの原因にもなったはずの朱美さんの死、誰一人として触れないまま終わりましたけども。ギフの被害者たちは生きていた、みたいな時にも少しも話題にもなってませんでしたけども。毎週見てても話がわからないってのはどういうことなんだよ。何人も殺したテロリストのリーダーだった女が、最終回でヘラヘラお茶汲み(散々「強い女性」的なことを言わせてたのにこれはあまりにも古くない?)して、「償い」もクソもねンだよ。

本当にやることがないんだろうなという最終数話、何回も「これまでの仮面ライダーリバイス」をまとめるのだが、ウィークエンドの面々や大二の離反、ベイルと親父のグダグダを丸ごと落としても成立してしまうのに乾いた笑いが出てしまった。シリーズ構成どうなってんだよ。主人公サイドと仲良くなればテロリストだった過去がなかったことになってしまうという不愉快な倫理観(作中世界で逮捕された木村昴はもう世に出ていいの?)、時事ネタの範疇を超えた反ワクチンを思わせる演出、極めてステレオタイプ的で古臭い「家族」観、視聴者の反発を見て後付けしたようにしか思えない説明をセリフだけでつける(元デッドマンズの罪がどうなっているのか、悪魔に定義はなかったはずではないのか、ベイルと元太の一蓮托生関係があるなら戦って倒しちゃダメなんじゃないか、などなどなど…)とか、不快な要素多数。製作現場での過重労働、セクハラ問題なども含めて非常によろしくない。東映の有料サブスクに入らないと見られないスピンオフを見ていることを前提とした作劇も「子ども向けなんだから」でカバー不能。浅倉唯という逸材を世に知らしめただけが功績の作品…と思ったら、事務所と揉めまくっており、作品自体もダメダメなうえに作品外にも気になることがたくさんあって嫌な気分。1クール目のワクワクの予感が全部気のせいだったなんてなあ…。こんなんなら『風都探偵』を一年間放送してください。最終回マジでどうでも良すぎたんだけど、作ってる方もどうでもいいと思ってやってないか疑いたくなるレベル。二人で何じゃれてんの?自分の分身とか抑圧された部分が悪魔みたいなことちらつかせてたような気もするんだけど、一年間自己完結し続けた主人公だったのかな?

瞬間的に「エモ」くなれるキャラ萌え描写みたいなのでブヒブヒ喜んでるとこのクオリティのクソ作品が粗製濫造されて、10周年とかで解釈違いも甚だしい「完結編」とかが出てくるようになっちゃうと思う。好みかどうか以前に破綻してるもんにはNOを示さなくてはならんと思いますけども。
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