なっこ

リトル・バーズのなっこのレビュー・感想・評価

リトル・バーズ(2020年製作のドラマ)
3.2
/ストーリー/(BS12HPより)
精神的に不安定なアメリカ人富豪の娘ルーシーは、婚約者ヒューゴの待つタンジールにやって来た。新たな自分に生まれ変われると信じていたルーシーだが、植民地独特の緊張と退廃の中で数々のカルチャーショックを受ける。一方、SM嬢をしている女性シェリファは抑圧的な植民地政権下、自身のおかれた境遇を変えるべく立ち上がる。

/感想/
アナイス・ニンの官能小説を原案に、2020年に英国で放送されたテレビシリーズ。全6話。物語の舞台はフランス保護領であった1955年のタンジール。
ヒロインのルーシー・サヴェージは、武器製造会社のオーナーを父に持つ富豪のアメリカ人。結婚を機に婚約者ヒューゴの待つモロッコのタンジールへと向かう。

原作未読。
現代の視点からアレンジしてあるのか、たとえ運命に翻弄されようと立ち向かっていく強い女性のイメージが最後まで崩れなかった。抑圧された女性が自らの手で自由を勝ち取る物語。冒頭から映される籠の中の鳥、そしてラストシーン、小さな鳥たちが象徴するものの意味は明らかだ。

なぜヒロインが精神的に不安定なのか、ラストの父親とのやりとりでハッキリした。それまではただ精神的に抑圧されているだけなのかと思っていたのだけれど。

明らかにパパの娘であることに従順で自分に似合う服も知らずに母親にあてがわれた服をただ着る人形のようなヒロインを好きになれるだろうかと途中まで不安だった。でも彼女が予想に反して父親の商品である銃を正確に使いこなした時に私も目が覚めた。本当に強いのは彼女だ、と。

籠の外へ出た鳥はどこへ向かうのだろう。

ヒロインが寛容にも自由を与えた夫のように、愛が追いかけてきてくれる、愛に追いつける物語としてその先の人生が続いていってほしい。「気づき」があったその先を、現代を生きる私は生きていくのだろうから。
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