MOBSPROOF松原弘一良

魔夏少女のMOBSPROOF松原弘一良のレビュー・感想・評価

魔夏少女(1987年製作のドラマ)
4.8
名作ドラマ「うちの子にかぎって…」などでタッグを組み、子役を生き生きと活躍させていた演出家・吉田秋生と脚本家・伴一彦が、主演に当時絶大な演技力を誇っていた小川範子を迎え、『キャリー』や『エクソシスト』の世界をお茶の間に展開。そんなの……面白くならないわけない! 結果、お茶の間を血飛沫で真っ赤に染め上げ、伝説に残るホラー・スプラッター・ドラマが誕生しました!!
初潮をイメージさせるカットからスタートする本作。プールサイドでスイミング帽を取られた小川範子演じる綾が怒りにまかせて超能力を発揮。同級生の足から血を吹かせ、かまいたち騒動を勃発させます。「イヤボーン」の原理(『さるマン サルでも描けるまんが教室』より)で森本レオの腹を割き、挙げ句の果てに全身をポキポキと念力でエクストリーム血まみれマッサージ。永瀬正敏演じる宮崎勤ライクな変質者も同様にゴー・トゥー・ヘル。自分の力をコントロール出来るようになった綾は、「気に入らない相手は殺す!」……そんなアグレッシヴな行動原理に基づき、次々に超能力を発揮。母親との強すぎる絆の悲しすぎる結末まで、ジェットコースターの様に物語が進んでいきます。放送当時は大らかな時代だったものの、テレビで本作を見た翌日は学校で話題になり、その衝撃度は大きかった必見作です。
思春期の少女の持つ不安定さが狂気へと変化していく過程を演じきった小川範子が、この作品の放映後しばらくしてからリリースしたCDも本作同様に壊れそうで儚げな作品ばかり。アップテンポな曲もガラス細工の上を歩くような繊細さで、聴いているこちらがハラハラしたものでした。そういえば、ラジオ「おちゃめな夜だよいたずらレモン」もハラハラして聞いていたな。さらに言うと、同年に放送された「3年B組金八先生スペシャル6 新・十五歳の母」でも、中学生で妊娠する金八先生の第1シーズンを彷彿とさせる役だったし。だから、数年後に放送が開始された「はぐれ刑事純情派」での明るい演技を見た時にはホッしたのを覚えています。

MOBSPROOF松原弘一良さんの鑑賞したドラマ