こたつむり

マーダーズ・イン・ビルディング シーズン1のこたつむりのレビュー・感想・評価

4.0
ディズニープラスで独占配信中。
さあ、みんなもディズニープラスに入会しよう!(広告)

そんな言葉に騙されて。
いや、騙されてません。
勧誘されて、が正解です。何しろ、ミステリとコメディが高次元で融合している、なんて話を耳にしたんでね。ミステリ好きの末席に座る身としたら観たくなるのは当然。

ただ、正直なところ。
ミステリ部分は詰めが甘いです。フェアとは言い難いですし、探偵役の3人も“へっぽこ”ですからね。論理的に犯人を追い詰めていく…なんて展開は皆無です。

でもねえ。嫌いになれないんですよねえ。

何よりも登場人物が魅力的。
かつてドラマで一斉風靡した役者(と自分では思っている)のチャールズ。空気を読まないコミカルさが面白い元プロデューサーのオリバー。そして、紅一点の若者、メイベル。この三人の距離感が絶妙なんです。

また、アパートの住人たちも特徴的。
猫を病的までに愛する住人や、フェロモンを振りまくファゴット奏者は勿論のこと、スティングが本人役で登場。なかなか重要な役回りを担うんだから驚きです。

あと、基本的にコメディなので筆致は軽やか。
向こうの文化を知らないと分からない部分もありますけど、その辺りは直訳の海外ミステリと思えば良い話。アメリカのドラマを観ているんだなあ、という気分になれました。

特に“前回までのあらすじ”が顕著。
その回に関係するトピックを上手く抽出しているんですよね。日本の場合だと、前回のラストが繰り返されるだけなので、この辺りは海外ドラマの方が親切だと思います。

ただ、飛ばすところは飛ばしますけど。
登場人物の名前が覚えづらいのも「海外ドラマあるある」ですよね。って僕の記憶力が悪いだけかな。

まあ、そんなわけで。
脱力した感じのミステリ風味コメディ。
派手な部分が少ないのにググっと引き寄せられるのは脚本が上品だから。後から知りましたが、チャールズ役のスティーヴ・マーティンが手掛けているんですね。多才な御方ですなあ。
こたつむり

こたつむり