九月

WeCrashed ~スタートアップ狂騒曲~の九月のレビュー・感想・評価

4.0
最近このような、一世を風靡した凄い夫婦の栄光と没落の物語を目にすることが多く、やや食傷気味な気もしていたけれど、癖になる面白さというか…気づけば、心をざわつかせながら前のめりで見ていた。
ジャレッド・レトとアン・ハサウェイの共演だったからこそ、ここまで楽しめたというのは大きいかもしれない。

第一話の冒頭で、WeWorkのCEOアダム・ニューマンの行く末が映し出され、いきなり不安な気持ちにさせられた。
初めに堕ちるところを見ていたので、上り詰めていく軌跡を見ることすら辛いな…と思いきや、想像していたような浮き沈みっぷりでもなく。単なる栄枯盛衰の話でもなく引き込まれた。
大学での経営学の講義を思い出したり、新卒で入った上場企業で働いていた時のことを思い出したり…いかにもビジネス!というような仕事からは離れた今見ると、冷静に楽しめた。

とにかくこの夫婦、不屈の精神がすごい。自分や自分たちの人生を存分に謳歌しているところが羨ましくなりつつも、周りの人の声をほとんど聞き入れないところがだんだん目立っていき、辟易した。終盤は特にそれが色濃く描かれ、だからこうなった…としか思えないような展開に。
アダムとレベッカ、お互いの存在があって良かった…と思う時と、このふたりが出会っていなければこんなことにはならなかったんじゃ…と思う時があった。
仕事がうまくいくと家庭が疎かになり、家族を優先させようとすると仕事がうまく回らなくなる…というのは皮肉なもの。

人の上に立つような人って、確かにこういう感じの人もいるなぁ…と思いながらも、やっぱりそれを支える人たちがついてきてくれなくなったらどうしようもない。
アダムもレベッカも何を考えているか分からないようで、感情を表情や態度に出すことが結構多くて、自信たっぷりだったふたりが不安でいっぱいになっていく様子などとても見応えがあった。
ジャレッド・レトとアン・ハサウェイがお金持ちで煌びやか、というか自分とは程遠い現実離れした生活を送っているところを見るだけでも満足感があった。
九月

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