プロレスの世界で、善人は“フェイス”、悪人は“ヒール”という。しかし現実の世界では、いい人であり続けることや、嫌な人間にならないことは難しい。ジャック・スペードは、地元ダフィのプロレス団体DWLのために、常に最善の決断を下さねばならない。しかしリーグにとっての最善は、往々にして愛する人々の犠牲を伴う。破産寸前なほどの資金難や、悪だくみをするライバル団体のオーナーたち、絶えずつきまとう負傷のリスク、所属レスラーたちの衝突など、DWLはあらゆる困難と戦っている。プロレス界には肉体的にボロボロになり、夢破れたレスラーたちがごまんといるが、リングの裏で行われる戦いほど過酷なものはない。レスラーたちは皆、チャンピオンベルトを頭上に掲げたいと願うが、脚光を浴びることに伴う犠牲に耐えられる者は少ない。