Byleth

ONE PIECEのBylethのレビュー・感想・評価

ONE PIECE(2023年製作のドラマ)
5.0
1997年より週刊少年ジャンプで連載されており、現在は『最終章』が連載中のONE PIECEがNetflixで実写ドラマ化。ジャンプ連載20周年記者会見での制作発表から6年の時を経て、2023年8月31日に待望の配信開始を迎えた。
私はONE PIECEの知識がほぼ皆無に等しいが、せっかくNetflixに加入しているのならば観ておかなければという半ば義務感みたいなものから配信初日に3話まで視聴し、配信から1週間かけて全8話を完走したので、ここからは総合レビューを記載する。
まずは具体的なレビューをする前に本作の概要を紹介しよう。制作スタジオはNetflix実写版『カウボーイビバップ』を制作したトゥモロー・スタジオだが、同作はあまりにもの酷さからシーズン1で打ち切りとなっている。このトゥモロー・スタジオが制作を担当する事から、カウボーイビバップの打ち切りが決まった時から、ファンによる実写版ONE PIECEへの期待と不安が入り混じるようになっている。
次に、製作費は1話あたり1800万ドル(日本円にして25億円程度)となっており、HBOの大ヒットドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』やDisney+の数少ない大ヒット作『マンダロリアン』の1500万ドルよりも高い予算であり、同じスタジオでも『カウボーイビバップ』の600万ドルから700万ドルの3倍の予算が投入され、個人的には高い予算が投入された事により圧倒的な映像やセットの作り込みが実現され、まるで実在するかのように見えた。
そして、本作の特徴と言っても良いのが、原作者尾田栄一郎氏がエグゼクティブ・プロデューサーとして関与しているという事であり、さらに彼は作品に対しリリースを承認する最終決定権を持ち、納得しないものは世に出さないと発表している事から、期待されていた模様である。
ここからが原作未読、アニメ版未視聴による初見勢の感想となるのでご了承頂きたいが、結論から述べると、原作を全く知らない人でも楽しめるNetflix実写化において、かなり高品質の超大作ドラマで、『ウェンズデー』に次ぐ神ドラマだと思う。
これまで『デスノート』『カウボーイビバップ』『バイオハザード』『アフリカン・クイーンズ クレオパトラ』と失敗を繰り返してきたNetflix実写化の中でも群を抜いて面白く、キャラクターに魅力を感じる他、原作ファンやアニメファンからの人気も高い名シーンが圧巻の再現度て見せられてきた。
また、漫画、アニメ、実写の表現方法の違いにおいては、完全再現は難しいため、ルフィの麦わら帽子のように必要であるものは再現して、ウソップの長鼻やサンジのグルグル眉毛など再現出来ないものは再現しない事で、漫画と実写の表現方法の違いを証明したとも言えるので、原作の良いところを分析する点は重要であると考えている。
そして、本作の特徴とも言える尾田氏によるクリエイティブ・コントロールは、実際に尾田氏が脚本を務めたスティーヴン・マエダとマット・オーウェンズに対して、予め複数の"指令"を出していた事、撮影済のシーンを確認して、再撮影を指示した事、原作改変が行われた場所について全て確認した事から、尾田氏によるクオリティ・コントロールは大成功だったと思う。
これは余談だが、アニメ化・実写化問わず、原作者が深く関わるという点では、他の作品では2022年12月日本公開のアニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』では原作者本人が監督・脚本を担当した事、2019年から現在まで3作が公開されてきた実写映画『キングダム』シリーズでは、原作者本人が共同脚本として参加しており、どちらも大ヒットしている事からも、やはり原作者本人の参加は成功か失敗かを分ける重要な要素になると考えられる。
最後に、ONE PIECEと同じ週刊少年ジャンプ原作漫画の実写化としては、今後は『シティーハンター』『僕のヒーローアカデミア 』『幽☆遊☆白書』が公開予定である。『ウェンズデー』や『ONE PIECE』に次ぐ大ヒットとなるか、はたまた『デスノート』『カウボーイビバップ』『バイオハザード』『クレオパトラ』の二の舞になるか。どちらに転んでも文句は無しだが、お祭りにはなりそうなので、今後の実写化プロジェクトもじっくり待ってみる事にした。私の個人的な希望としては、同じ週刊少年ジャンプから『SPY×FAMILY』『呪術廻戦』もワンチャン実写化出来るのではないかと思ったので、是非とも原作者監修で実写化してほしいと思うようになった。
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