遂にあの大資本Netflixが『ONEPIECE』を実写化してくれた。あの巨大な世界観を豪勢なセットで作り上げ、ひと目でどのキャラクターか分かるよう工夫されたキャラ造形、何周してるか分からないワンピファンと初見の人たちを上手く導いていく脚本とこれ以上のものを作れるスタジオはまぁ無いだろうという結果でした。
しかし、『ONEPIECE』の世界は表現できているが、『ONEPIECE』の良さまでは表現しきれてないのが残念だった。海外ドラマとして流石にルフィをメインとした人間ドラマが展開されるが、漫画のルフィというのは基本的に戦いは成長するが、人間的な成長というのはあまり無い。私が違和感を覚えたのは『ONEPIECE』で描かれる尾田栄一郎の美学と主人公のルフィの美学の違いを描けていないこと。私が思う『ONEPIECE』の美学は「我慢」。悪役のもとで手も足も出ず我慢を余儀なくされる人々を「自由」そのもののルフィが救ってくれる所にカタルシスがあるが、本作は「民衆の我慢」というのがあまり描かれていない。民衆は力で捻じ伏せられている現状への我慢はあるが、その現状を隠し仮初の日常を送っているまで我慢はしてない。「アーロンパーク編」の1番の良さはナミの行動を知っていながら何もできなかったゲンの後悔と少しでも彼女のために行動する強さにある。このあたりの変更は日本人の美学と勝利国アメリカの違いが良く出ていた気がする。
アクションも見れるクオリティではあるが、チャンバラごっこの域を出ず。今後の課題はルフィの技が対して痛そうに見えない部分をどう変えて行くかにかかっていると思う。流れるアクションと漫画的な見開きの止め絵を表現できればもっと良くなるドラマだと思う。
