うらぬす

ONE PIECEのうらぬすのレビュー・感想・評価

ONE PIECE(2023年製作のドラマ)
4.4
思ってたより遥かに面白かった。
「ワンピース」らしさとは何かを考えたときに、あの若年層向けの(というか児童向けとしか思えない)ギャグや、誇張・強調された身体的特徴の表現(サンジのぐる眉、ウソップの長鼻など)がそのらしさの一部を、決して主たる要素ではないにせよ担っている訳だけど、それらをバッサリと切り捨てて、原作よりもダークなトーンで描いたのが功を奏していると思う。
海賊が民を虐げる様子も、刀で敵を斬れば相手は傷を負い死ぬという至極当然の事実も、比較的リアルに描写することで、ルフィが海賊王を目指すこの世界が決して冒険に満ちた楽しいだけのものではないことを思い出させてくれた。でも、だからこそ麦わらの一味の夢と冒険には価値があるのだと思える。
少し注文をつけるのなら、麦わらの一味のメンバー同士の会話が控えめで、強固な仲間意識を育むに足る関係性が構築されているようには思えなかったことくらいか。だからといって麦わらの一味がダラダラとしょうもない会話をしているシーンを挟めば冗長になるのは火を見るより明らかで、このあたりの塩梅は難しいところ。
なんにせよ、ワンピースではないようで、でも間違いなくワンピースであるという不思議な魅力を備えたドラマだった。原作の最後までドラマ化するのは物量的に難しいとしても、少なくともアラバスタまで(既に決定しているシーズン2はどこまでやるんだろう)、贅沢を言えばウォーターセブン&エニエス・ロビーまでやってほしい。
※なお自分自身はワンピースの熱心なファンではない。85巻くらいまで買っていたけど今はもう読むのをやめている