世界的にバズった大ヒットドラマ『イカゲーム』。この度ようやく見終わりました。デスゲームというキャッチーな題材を使い、現代の格差社会をとことんえぐり出した脚本が見事です。登場人物たちの造形もよく、どの人物も印象に残るわかりやすいキャラ付けがされているにも関わらず非常にリアル。全9話の構成も無駄がなく、演出的に少々くどさがありますがそこも含めて見入ってしまいました。行われるゲームは「ダルマさんが転んだ」や「綱引き」など、どの国でも簡単に理解できるシンプルなものばかりなのもよく考えられています。常に生き死にがかかっている状況はケレン味と緊張感にあふれ見飽きることがなく、ちと現実離れした世界観もいいアクセントになっています。
絶望的な状況でも生き続けなければならないこの社会。人はどこまで醜くなれるのか、あるいはどこまで尊厳を守ることが出来るのか。最後に残るものは何なのか。現代世界の精神をエンターテイメントとして見事に体現した作品だと感じました。類似作品は数あれど、純粋にドラマとしての完成度やディテール、メッセージ性、作品の根底にある「怒り」が段違いに良い。大ヒットするのも頷ける作品です。やっぱり流行るものには流行るだけの理由があるなあ。ちと遅れたけど見て良かった。
