CANACO

イカゲームのCANACOのレビュー・感想・評価

イカゲーム(2021年製作のドラマ)
3.3
『カイジ』『バトルロワイアル』の原作既読&映画鑑賞済み。デスゲームで、この二作を想起させる作品なのは間違いない。かつ、グロい描写多め。苦手なので早送りは結構した。

デスゲームにある人間の結束と裏切り、生への執着、悲壮(悲愴)感はたっぷり。もちろん不条理で、ポップな色彩・音楽、無機質な記号、変なルールを徹底する異常なシチュエーションが不気味。
映画『パラサイト』にもあるリアルな貧富の差、生活感、家族への想いの描写が丁寧で、単純すぎるゲーム内容をドラマで補完している印象を持った。

『カイジ』『バトルロワイアル』にない面白かった部分は、同時に運営側のバックヤードを見せるところと、そこに潜入者がいて別のドラマを見せるところ。運営側も統制が完全にとれているわけではなく、ほころびがある点が面白い。

ゲーム用の仕込みをしているシーンは笑った。このゲームを最後までやるのにVIPからどんだけもらえば元がとれるのだろう。

突っ込みどころはいろいろある。参加者に対するセキュリティはなかなかなのに、運営側の中枢部になればなるほどセキュリティが大甘なこと。
ソウル大の首席卒業でなくても簡単にできるレベルの騙ししかしていないので(運動神経と集中力、運があれば勝てる)、『ライアーゲーム』とは違う。気に入らない点があるとしたら、運営がゲームに対してストイックじゃない。ゲーム中に殺し合いオッケーなのもモヤっとする。イカゲームのルールもちゃんと知りたかったし、真剣な知能戦が見たかった。

デスゲームものって落とし所が難しいとは思うが、本作のラストはしっくりこなかった。冒頭に出てくるメンコ男が、今後も続くであろう本シリーズのラスボスじゃなかったら笑っちゃうな〜(予想でありネタバレではないです)。
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