岡田拓朗

先に生まれただけの僕の岡田拓朗のレビュー・感想・評価

先に生まれただけの僕(2017年製作のドラマ)
3.8
将来を考えるにあたって、安定や正解が不確定な流動的な時代だからこそこういうドラマを待ってた感はあった。

テーマは教育、恋愛、考え方、変革辺り。
特に閉塞的な小学校〜高校においては、教育はこうあるべきみたいなのが良くも悪くも浸透しすぎていて、時代遅れな教育が未だに蔓延っている危機感は持っておいた方がよさそう。

今までの教育からの大手終身雇用主義の社会においては、我慢を前提に安定を勝ち取るみたいな流れで最低限の幸せを掴んでおり、産業や経済もそれで成長していた。
同じことをし続けて、いわゆる何かのスペシャリストになることややるべき決まったことをやっていれば回るような時代。

ただし、情報が価値を持つようになり、オフラインだけではなく、オンラインでのコミュニケーションやコミュニティが発達していくようになっている昨今、流行り廃りが激しく市場も流動的なので、以前みたいなこうやっていれば大丈夫がなくなってきているのがわかる。

その中で大切になってくるのが、敏感に情報に気づき適切に情報を収集する力、自らで考えて選択して動いていける力、数少ない情報源の中からも動けるように持っていける力、柔軟性などだと思う。

さらに、多くの人が組織の中でビジネスマンとして働くのに、教育現場はビジネスを経験されていない人で成り立っていることがほとんど。
大切な1日の半分以上が、不毛な時間になってしまっている可能性もあるのが実態である。

ビジネスにおいて大切なことや人生やキャリア、考え方を形成する上で知っておくべきこと、自分は高校で教わった記憶がない。
大学で知れたあらゆる可能性の大きさにすごくわくわくして、これがもっと早い段階で知れていたら勉強への取り組み方や1日の過ごし方、普段の生活の中の思考も全然違ってたものになってただろうなと。

今作はビジネスマンを経験している人が、ある高校の校長になることで、そこにメスが入るように教育が変革されていく。
将来を見据えた上で今をどう生きるか、というメッセージが印象的だったのと、これからの時代に即した考え方が伝えられていて、さらにそれによって、少しずつでも人が変わっていった流れがとてもよかった。
勉強を教えていく中で、生徒からこんなことやって将来何の役に立つのか、を問われているシーンは印象的で、それって確かになーと思ったし、それを知りながらする勉強と知らないままする勉強では価値が全然違う。

恋愛においては互いが忙しいことにおけるすれ違いから、男性と女性のそもそもの考え方の違いが如実に出ていて、それを相手に求めるがゆえにうまくいかない、でもそれを独りよがりにせず互いが受け入れることによって結婚が現実になっていく流れが綺麗だなーと思った。

個人的には教育変革の流れを観るだけでも十分よかったので恋愛要素はどちらでもよかったけど、恋愛のいざこざからの綺麗な結末にたどり着く流れはやっぱり鉄板ですね!

出世が仕事の全てじゃない世の中になると、組織の中の理不尽なことも減りそうだし、最後の櫻井翔が出世なんていいですと言わんばかりに、会社に戻るのをバッサリ断ったシーンはよかったなー。
まさに今だからこそ求められているようなドラマだと思いました。

P.S.
多部未華子はそのまんまな感じやけど、蒼井優のカメレオンっぷりがすごい!!(彼女がその名を知らない鳥たちとの差よ!笑)
岡田拓朗

岡田拓朗