はる

ガンニバルのはるのレビュー・感想・評価

ガンニバル(2022年製作のドラマ)
5.0
オンライン試写会にご招待頂き、一足先に第1話から第3話まで視聴させて頂きました。Disney+が人気ホラー漫画を映像化するにあたって、日本映画界の宝・片山慎三と『ドライブ・マイ・カー』の脚本を手掛けた大江崇允がタッグを組み、柳楽優弥を主演に据えたということは、世界に打って出る作品を目指していることは火を見るよりも明らかです。冒頭の3話だけでその確かなクオリティに感嘆し、今すぐに続きが観たくて仕方ありません。

供花村という小さな村に赴任してきた刑事・阿川大悟が次第にその村の様子を不審に思い、前任の駐在について調べだすことから始まる『八つ墓村』や『ひぐらしのなく頃に』のような田舎を舞台にしたホラーミステリー。後藤家と呼ばれる村を牛耳る権力者や怪物のような謎の大男、人食いの噂など、不穏な空気が立ち込める中で、主人公の阿川大悟も行き過ぎた暴力で知られるタガが外れた刑事。狂気の満ちた村の人々に対して一歩も引かないところが非常にスリリングで一瞬足りとも目が離せません。

『ディストラクション・ベイビーズ』を彷彿とさせる柳楽優弥の凶暴な演技とポン・ジュノの助監督の経験もある片山監督の韓国ノワールさながらの画作りの相性は抜群で、常に高い緊張感を維持しながら、厭さを全面に押し出し、1秒先に最悪な事が起きるのではないかとつい想像してしまうような気の抜け無さがあります。そして片山監督の作品のファンなら『岬の兄妹』にも出演していた松浦祐也や中村祐太郎といったキャスティングもまた楽しめること間違いなし。第3話までの時点ではまだ出てきていませんが、高杉真宙も今後重要なキャラクターとして登場するらしいですし、ここまででチラッと出てきた山下リオも何かしら物語にグッと絡んできそうな予感がします。主演の柳楽優弥に引けを取らない存在感を放つ笠松将演じる後藤家次期当主の後藤惠介も今のところ謎の多い人物でこの先の展開が気になるところ。

この調子で面白さが伸びていけば年間ベスト級の作品にもなりそうで期待に胸が膨らみます。Disney+加入者はもちろん、これを目当てに新たに入会しても損はしないと思います。
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