ボブおじさん

ガンニバルのボブおじさんのレビュー・感想・評価

ガンニバル(2022年製作のドラマ)
4.3
映画鑑賞とスポーツ観戦に時間を割いている為、普段連続ドラマはなるべく見ないようにしている。ただこのドラマは面白そうだったので、とりあえず第1話だけ見てみようと思い見出したら全7話一気に見てしまった。

話のテーマとなる〝カニバリズム〟については、個人的に興味はなくむしろ苦手なテーマだったが、監督片山慎三と主演柳楽優弥が見事な化学反応を起こしてくれた。

やばい村にやって来た普通の警察官一家に次々と襲い掛かる村社会の恐ろしい風習という事前の予想は、第1話を見て早くも裏切られた。

この話、ヤバい村にやって来た普通の家族の話ではなく、一言で言えば〝ヤバい村にやって来たヤバい警官の話〟なのだ。

今にも〝警官だよ、バカヤロー〟と言い出しそうな、この柳楽優弥が演じる狂気を孕んだワケあり警察官の圧倒的な魅力で最終話まで一気に持っていかれた。

人の肉を食べるという行為は、あちらの世界の話にしか思えないが、その連中と対峙し調査している様子を自分の妻に〝あんた、楽しんでるでしょ〟と指摘される柳楽もこちら側の人間とは思えない。人を殴っているときの満ち足りた表情などはちょっとヤバい。

役作りの成果だろうが、柳楽の胸板の厚さと服の上からもわかる背筋が、格闘シーンと普段の不敵な面構えにリアリティをもたらしている。つくづくいい役者だと思う。