故ラチェットスタンク

ボバ・フェット/The Book of Boba Fettの故ラチェットスタンクのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

もうなんか言うまでもなくと言うか……感想はもう満場一致なんじゃないかな?

最初はボバ・フェットというアイコンを被せた新キャラを描いてる感じだなって思った。

原作である「帝国の逆襲」のボバ・フェットって死ぬほど格好良い脇役に尽きるわけだから、主軸として置くならこれがベストなアイデアだと思う。

ファブロー監督を筆頭としてキャラクターへの理解とドラマのスケール感に合わせた解釈と舵取りが上手なのであと何個関連作出しても面白いんじゃないかな…とEP.4までは思っていたのだが…

EP.5以降で完全にマンダロリアンシーズン2.5になってしまったのをみて、ボバという新キャラに対して少しずつ積まれていた愛情が急速に冷めていくのを感じた。(そのまま行っても3.0にしてた気はするが今の3.0とは意味合いが違ってきたと思う)

確かにマンドーの出ている回は素晴らしいし、そうする必要は無いとは思ったけどグローグーの「運命からの解放」も悪くない物語だとは思う。(是非は別として)
けどそれをボバ・フェットでやらないでくれ。
①完全新規軸の物語を
②余計なクロスオーバーで急激に熱を上げることで
③本筋への思い入れが空洞化する
という現象が明確にされた意味では貴重な体験

ノーウェイホームはこの現象そのものを「ホーム3部作の構造」として逆手に取ってクロスオーバーを一人のヒーローの誕生譚に利用していたので物語の本筋であるトムホピーターに対して興が削がれることは無かったわけだが…
今作の場合は主役が完全に食われてしまっている。

だってEP6で出たときに「あ、そう言えばボバの単独作だったわ。えーコイツの話かい。ダル。」って思ってしまったもの。

今や現代スターウォーズのアイコンとなった、あのぶっきらぼうなマンドーが私は好きだなという私的な確認にはなった訳だが…

プロトタイプ的に作った新規キャラに本番である古参キャラが喰われちゃうという稀な例で、愛すべき新ャラを作ることが出来なかった失態として後世に語り継がれるぐらいが丁度良い。

EP7でさえバトルシーンのクライマックスもラストシーンの〆もマンドーなのだ。もう作り手が誰に思い入れを持っているのか明白だろう。

主役を蔑ろにしてしまっているため、この「ボバ・フェット」という作品の制作者の姿勢に誠実さと愛情を見出せない。

マンドー自体の物語は素晴らしかったし、ボバフェット自体の物語はまあ普通だけど非常に頑張ってはいたと思う。
しかしその2つがひとつの作品の中でひとつの物語として融和できなかったのが大きな痛手に感じた。
そこさえ出来ていればここまで苦言気味にはならなかったかなぁ…

マンドーの続編としては4.0
ボバのスピンオフとしては3.0
企画自体は2.0という感じ。

その他の言及点
・EP5の宇宙都市がビジュアルも設定も全部格好良い。住みたい。
・およそSWとは思えない若者集団が出てきて「何なんだ?」と思ってたらロバート・ロドリゲスの名前が目に入った。あれは「アリータ」の供養かな?
・ジェットパック戦闘は出だしがスピーディーで素晴らしかった。観たことなかった絵の撮り方
・マンドーパートだけバキバキにフレーミングが決まってる。EP5の精肉店のアクションがベスト
・大名がそのまま"Daimyo"で笑ってしまった。