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赤い袖先(原題)のakariのレビュー・感想・評価

赤い袖先(原題)(2021年製作のドラマ)
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名作!本当に本当に切なくて、他の恋愛ものとはひと味違う深い物語でした。二人の中に強さと強さゆえの弱さが見え隠れするのがものすごく良かったです。度胸の女ソン・ドギムかっこよすぎる。サンのはらはら流れる涙が何度も胸を打ちました。お二人の感情豊かなお芝居があまりにも良かったです。王族の駆け引きと恋愛の駆け引きが織り交ざってとんでもなく面白い作品でした。大大大好きです。登場人物たちの所作が綺麗で、見てる私までちょっと意識して動くようになりました。
序盤、好きな子いじめが止まらない世孫様が可愛かったです。勝気なドギムにスカッとしました。世孫様の正体に気づかず暴言を吐きまくるドギムが面白かったです。お互いが憎らしくてちょっと気になる二人の会話が笑えました。イ・セヨンちゃんのコメディ演技が上手くて笑っちゃう。第8話、王室での駆け引きめちゃめちゃ面白かった…。各々が心の内を読み合いながら一番正しい選択をしていくのに高まりました。
「お前が私に振り回されたのか、あるいは、私が振り回されたのか」自分の気持ちをわかっていないんだろうなとは思っていたけれど、“わからない”をちゃんと伝えられるサンがかっこいいと思いました。二人で明るい夜店の道を歩くシーン、美しかったです。恵嬪とドギムの前で、身分の高い女人を選ぶと言ったサン。「いいえ、むしろ幸いです。ご本心を知ることができて…」「知らぬはずだ。私もお前の本心を知らぬ」禁足令を出されたサンと宮女ドギムの壁一枚隔てた会話の時間が温かくて貴重でした。「一生おそばを離れず、ひとえに世孫様に尽くす味方です」ドギムの強い言葉と立ち尽くすサンの涙が止まらないのを見てすごく感動しました。“そばにいる”がどれほど不安定でそれでも欲しいものかが伝わってきました。
第11話、サンの突然のドギム呼びがたまりません。湯浴みのシーンが最高すぎてニヤニヤが止まらなかったです。世孫様、嫉妬するお姿もお美しい…。サンの裸に戸惑うドギムが可愛かったです。二人ともドギマギしてて面白い。ドギムがお湯に飛び込んでしまうところで話が終わるのがずるくて興奮しました。女友達と恋バナするドギム可愛すぎる〜〜。「私は世孫様をお慕いしてる」ほっぺに手を当てる仕草がたまらなく可愛い。恋する乙女。笑いが止まらないサンも可愛すぎました。良かったねぇ。その会話にサンが知らない続きがあったのは笑いました。内禁衛将めっちゃアホで好きでした。サンとドギムの出会いが提調尚宮によって仕組まれたものだと分かり、サンを拒絶するドギムが切なかったです。彼女の心が自分にはないと思っても、ドギムを思い続けるサンがまた切ない。一介の宮女にも意志はある。対等な関係で二人は幸せになれるのか。サンがドギムを見つめて触れる度、ドギムの小ささがわかって愛しくなります。
韓国ドラマで見る王様はいつも精神を病んでいて心配になります。権力はひとりで持つものではないと感じました。王様がドギムの「達筆な宮女になりたい」という思いを覚えていたことに感動しました。一見わがままな王様だけれど、とても聡明でそれを隠している気がしました。ホン・ドンノはずっと怖かったです。絶対三角関係に参戦すると思っていたのに。彼はサンに認められたかったんだろうなと思います。純粋そうだった彼を嘘つきにしてしまった王宮での逆らえぬ上下関係を恐ろしく感じました。誰が味方なのか、味方なんていないんじゃないかと思えてくる存在でした。第18話の信号凧も守御庁も全てが繋がって上手くいくのがたまらなく熱かったです。最高!!
王様から世子だと間違えられ、自分はサンだと訴える涙に心が痛みました。俳優イ・ジュノ圧巻の演技力…!「今後、数百、数千の者たちを殺すことになろう。お前が望もうと望むまいとな。誰かの命を奪わねばならぬ。すべきことをせよ」祖父への愛と憎しみがぐちゃぐちゃになったサンの感情がよく伝わりました。強く気高く見えるサンは、泣くと本当に子どもみたいです。「私は恐れと不安で息も満足に吸えません」王様も提調尚宮もそうだったけれど、複雑に混ざった感情が描かれ、言うこととやることに矛盾が生まれるのが良かったです。その人の行動だけではなく、どうにかしようとする感情がちゃんと見えて面白かったです。第26話、サンが酒に酔っているシーンでは笑いました。弟を殺すしかなかったサンは、その重圧によって笑いながら泣いていてとても切なく良いシーンでした。
好きなのに、王宮での縛りのために好きと口にすることすらできない二人が辛い。気持ちがどうであれ、厳しい道が待っていることは明らかでした。「尋ねたいことも、聞くべきことも多いが今はその余裕が無い。それゆえ私の思いは今度伝える。お前の思いも、今度聞こう」は〜〜〜〜たまらなすぎる。「ドギム、お前と家族になりたい」この上ない言葉…!三年の時が過ぎたとは思いもよりませんでした。それだけ王の責任は重いのだとわかります。その分、ドギムに課せられる決断も重くなる。自分の望むまま変わりたくないと言ったドギムは、どうすれば幸せになれるのでしょう。
「王宮を追われた日、わざと王様にひどい言葉を。どうにかして王様を傷つけたかった」普通の恋人同士なら些細な喧嘩が国を巻き込む。王とはそういう存在でした。二人ともそれぞれ自分の人生に責任があります。だから意地を張るし、俯瞰し躊躇う。それでもこの長い道のりがあったからこそ一緒にいるという選択、触れる肌と肌に幸せを感じられました。ドギムがサンを心から慕っていても、それを隠すのが切なかったです。王はドギムを愛しながらも民のことや政治のことを多く考えなければならないし、常にそこに誠実でなければならない。側室になればドギムには王様しかいなくなり、王様を待つだけの人生になります。王様にどれだけ愛されても他にも側室はいて、ドギムが王様に思いを告げればきっとドギムは惨めになる。難しい感情が伝わってきて悲しかったです。宮女の幸せとは何なのか。ドギム、ヨンヒ、ギョンヒ、ボギョンを見ながら考えることができました。4人の友情に涙が出ました。みんなのことを見送ったギョンヒが辛かったです。宮女のまま生きるのが幸せか、王の寵愛を受けることが幸せか、死と引き換えに愛する人に身を捧ぐことが幸せか。ずっと変わらずにいたいけど、環境は必ず変わりゆく。なら自分も変化に飛び込んでみても良いのかもしれないと私は思います。誰の選択も間違っていませんでした。最期まで愛の言葉を口にしないドギムの強さが辛かったです。
「ドギム、私はもうそなたを振り返らぬ
忘れたふりだとしても構わない
そなたを忘れる
私は王だ
すべきことをして、義務を果たす
これまでのように
今後もそう生きていく
私はそなたを忘れる」
かつて愛した人を忘れ、王として国のためにすべきことをしたサン。彼もまたとても強い人です。今でも彼女を自分だけのものとして離さない、昔と何ひとつ変わらないその一途さに感動しました。彼が何も持っていなかった頃のことを思い返す最終回を見て涙がポロポロ零れました。そんな瞬間も、確かにあったことを思い出しました。

死は誰にでも平等にあるただひとつのもの。時はいつの間にか流れ、たくさんの人が死にました。皆生きることに悩みながら生きていました。それぞれ形は違ったけれど、何かを誰かの心に残して去っていきました。死んでしまっても、人生は残ると思いました。「そして瞬間は、永遠になった。」
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