こたつむり

ムーンナイトのこたつむりのレビュー・感想・評価

ムーンナイト(2022年製作のドラマ)
3.5
MCU版「月に代わってお仕置きよ!」
と書くと語弊がありますかね。

というか。
“あちら”のほうは詳しくないんです。原作者の配偶者が冨樫先生とか、そんなことしか知りません。

というかというか。
造形的には《月光仮面》のほうが近いかも。
どちらも白いマスクに白いマント。違うのは『Light』なのか『Knight』なのか。一応“こちら”は『騎士』なんですね。へえ。てっきり『夜』の方だと思っていました。

というかというかというか。
何となく既視感(騎士だけに)のある造形。中身もよくある勧善懲悪モノ…と思いきや、ホラー風味のサスペンス仕立て。怪奇映画と呼んでも不思議ではありません。

というかというかというかというか。
正義とか悪とかとは無関係。敵方にも理屈はあり、あながち全てが間違っているとは言い切れないんです(とは言え、罪を犯す前に裁く…というのはやり過ぎですけど)。しかも、主人公もヒロインも“人の話を聞かない”ですからね。果たして、彼らが純然たるヒーローなのか、と問われると微妙なところ。

というかというかというかというかというか。
主人公の出自からして微妙。彼はエジプトの神《コンス》から力を授かるのですが、この神様が曲者。見た目は異形だし、思想も偏り気味。ここにも正義とか悪とかはないんです。

ゆえに作品自体も一筋縄でいくはずがなく。
第四話からは「これをヒーロー譚でやってしまうのか!」という展開も待ち受けています(この辺りはネタバレになるので深くは言及しませんが…大胆な試みだと思いました)。

これは、なかなかのチャレンジ精神。
これがマーベル躍進の原動力なんでしょう。既成概念に囚われず、新しい世界を切り拓く…それは創作者の姿勢として「シビれるぅ、憧れるぅ」ものです。

ただ、正直なところ。
“マーベルだから”面白い、という部分があるのは否めず。続編があるとしたら、もっと過激な演出を期待しちゃいます。あと、他の作品とどう絡めるのか…にも期待大。

まあ、そんなわけで。
月の力を得て戦うヒーロー譚…と書くと普通に聞こえますが、実際は変化球。バットは振り回さず、当てていくつもりで臨むことをオススメします。

というか。
“月”の光は生物を狂わせる…なんて言い伝えもありますからね。観客も“狂う”のが吉かも。
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