こたつむり

ミズ・マーベルのこたつむりのレビュー・感想・評価

ミズ・マーベル(2022年製作のドラマ)
4.0
マーベルはどこまで手を広げるつもりなのか。

『シャン・チー』は中国。
『ムーンナイト』はエジプト神話。
『シー・ハルク』は弁護士物。
『ウェアウルフ・バイ・ナイト』は古典ホラー。
そして、本作はイスラムを取り込んでいます。

しかも、味付けは“青春疾走系”。
どこかで見たような演出は若干気になるものの、ポップな雰囲気は見事に心を貫き、気付けば主人公に心を寄せている次第。隙がありません。

あえて難を言えば、画面が暗すぎるくらい。
というか、家庭での鑑賞が前提なので、もう少し明度を上げてほしいです。それとも、イスラムの家庭は煌々と灯りを点けない…みたいな縛りがあるのでしょうか。

何はともあれ。
視聴者が限られてしまう配信ドラマではなく。
映画でも問題ない内容(物語的にも演出的にも)なので、堂々と映画化しても良かった気がします(本作がダメなら『シャン・チー』もダメだと思います)。

配信の契約数を上げるための戦略としては見事ですけどね。この秋に公開予定の『マーベルズ』に繋がるのは確実(予告の一部は本作の一場面)なんで、間口は広い方が良いと思うんですが…。

まあ、そんなわけで。
イスラム風味のヒーロー映画。
西洋文化に慣れ親しんでいると異色な感じはしますが、中身は王道中の王道。生温かい目で見守る気持ちが大切です。

特に主人公の恋愛模様はむず痒いですね。
向こうの社会では“イケていない”分類だった主人公、それを見守る男の子(ブルーノ)…という構図は“甘酸っぱさ”が満載。青春物語として“イケてる”んです。

また、ブルーノの出自が気になるんですよ。
「僕は親がいないんだ」の一言で済まされるんですが、その割には歪まず真っ直ぐ育っているので、なんだか応援したくなるんです。秋公開の映画で語られると良いですけどね…たぶん、無理だろうなあ。
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