サムカワ

ミズ・マーベルのサムカワのレビュー・感想・評価

ミズ・マーベル(2022年製作のドラマ)
5.0
王道ティーンムービーの前半から、インド・パキスタンの分離独立を絡めた"帰る場所"や"ルーツ"、"アイデンティティ"の物語、そして最終的にはやっぱりヒーロー誕生譚へと帰結する、僕の大好きなドラマシリーズでした。


とにかく絵作りがキュートでおしゃれ。登場人物もみんな愛着が湧いて仕方がないですね。
みんながそれぞれの立場で人生の帰路に立ち、選択し、前に進む。そうやって成長してゆく彼らの幸せを願っていますよ。

イマンちゃん演じるカラマが最高で、彼女が頑張る姿は無限に見ていたいですね。

そんでもってブルーノが良いやつで泣けちゃう。


パキスタン系アメリカ人が主人公で、ムスリム文化がポップかつフラットに描かれ、それが純エンターテイメントにしっかりなってる心地よさ。

別に多様性を「無理して」配慮してる的なことでは全くなく、王道ストーリーを本来の人種バランスで描き直しただけなので、むしろこれまでのハリウッドエンターテイメントがどれだけの人種や異なる立場の人々を排除してきたがわかりますよね。


そして4〜5話で色濃く描かれるインド・パキスタンの分離独立。
恥ずかしながら本作を観るまでこういった歴史があったことすら認識しておらず、高校のときの世界史の授業をちゃんと受けとくんだった…と猛省しつつも、
MARVELというポップカルチャーで真摯に過去の歴史を描き、僕のような不勉強人間にも示すことで、歴史を風化させないぞ!という作り手の強い思いを感じました。


映画ではなくドラマシリーズだからこそ描けた小さなシーンに色んな幸せやトキメキがあって、派手なアクションよりも、そういった些細な文化や気持ち、心を拾い上げてくれる本作には何度となく涙を流しました。


問題になっているMARVELのCGチームへのブラックな労働環境。確かに明らかに退化してしまっているCGクオリティにはやや冷めてしまうので、こんなハイペースで多作じゃなくていいので、1年に一本とかでいいので、しっかり丁寧に作品たちを作り出してほしいものですね(しかし作れば売れちゃうからなぁ…ビジネスとしてはこうなってしまうのか…)


ミズ・マーベルのカラフルな歌舞伎揚を出す感じ、わかりやすくて好きですよ。
サムカワ

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