HicK

ミズ・マーベルのHicKのレビュー・感想・評価

ミズ・マーベル(2022年製作のドラマ)
3.5
《主演イマンの堂々たるデビュー。でも…》

【女性版スパイダーマン】
スパイダーマンとの共通点が多く、女性版ピーター・パーカーとして既視感もあれば親近感もあった。また、第一話のストリートアートをオマージュしたような演出には「スパイダーバース」にも近いものを感じた。新鮮なようで経験した事のある王道な要素。それが自分にとっては逆に心地よかった。ただ、そのテイストが1、2話ぐらいで終わってしまったのでちょっと残念。

【歴史的背景の盛り込み】
スパイダーマンとの決定的な差別化として文化的背景の盛り込みがあったのは魅力的だった。英国によるパキスタンとインドの分断等、自分は知識が無かったのでとても勉強になった。ブラックパンサー、シャンチー、ムーンナイトなど文化を織り交ぜる方向性は興味が湧く。

また、文化的・宗教的な問題点にも切り込んでいったのは良くも悪くもアメリカらしい。一般的に、他国からの文化干渉は余計なお世話なんだろうけど、逆に自分はそれが痛快でたまらなく好き 笑。

【Kマラ・Kーン】
結構好き。演じたイマン・ヴェラーニのチャーミングな演技も相まって応援したくなった。これがデビュー作とは思えないほど堂々とした演技で素晴らしい。体型に関しても「戦闘要因として訓練をしていたわけではない一般のティーン」として親近感がある。が、なんでトレーニングも無しに立派に格闘させちゃってるの?笑

【ただ、もったいない流れ】
独自のカラーを生み出そうとしていたポップな1話目が演出としてはピークのように思えた。その後は、MCUのドラマ作品でありがちな「3話か4話ぐらいで本筋から外れ、6話の最終回で一気に駆け足で締めくくる」のような流れ。ちょっと最後のラッシュが気になった。

【悪役が…】
カムランのお母さん:ナジマの最期の気持ちや行動の意図もよく分からなかった。もう一方のヴィラン的位置にいるダメージコントロール局はぶっ飛びすぎ。ナジマ、DC局、カムランの3人がヴィランポジションにいたのに、結局全員が中途半端。

【あと、】
おばあちゃんは何でカマラにバングルをあげたのか?の答えを今シーズンで知りたかった。

【総括】
既視感はあったが親近感も大きかった第1話。そこが自分にとってのピーク。その後はカマラの物語から外れ、先祖の歴史に。そして最終話で急いでカマラの物語に戻るという流れが少しもったいなかったような気もする。その中でカマラと深い関係性を築くヴィランも無く…。先述したが、主演のイマンの演技が魅力的だっただけに、もうひとこえ欲しかった。

以下ネタバレ↓
































ラストで「君は突然変異(ミューテイション)だ」と言われたカマラ。そのBGMにはアニメ版X-MENのテーマソングがうっすらと流れた。…カマラはミュータントなのか!?

…でも、この糸口でミュータント紹介は正直嫌だなぁ。ちゃんと正規ルートでX-MENを迎えに行ってほしい。調べたら原作のカマラはミュータントでは無くインヒューマンズらしいし。
HicK

HicK