竜平

エコーの竜平のレビュー・感想・評価

エコー(2024年製作のドラマ)
3.7
『マーベル・シネマティック・ユニバース』配信ドラマシリーズ第10弾。ニューヨークを裏で牛耳る「キングピン」率いるマフィア、その幹部として暗躍していた女性「マヤ・ロペス」の物語を描く。全5話。

ドラマ第4弾『ホークアイ』にて初登場したこのマヤ・ロペス。聾唖で片足が義足で、ネイティブアメリカン(所謂インディアン)をルーツに持つという、MCUとしてはまたもや新たな人種、文化、歴史に触れていくような内容で、テーマの扱い方本当に上手いなと毎度感心しちゃう。まず1話目、『ホークアイ』後に故郷であるオクラホマ州タマハに戻ってくるわけだけど、これまでのことをおさらいしつつやがて現在へと繋がっていく様にワクワク。その中に光るNETFLIX製作のドラマ『デアデビル』直径の骨太アクションシーンがとにかくかっこいい。で、その『デアデビル』派生の物語であるが故に今作で欠かせない存在となるのが犯罪王キングピンこと「フィルソン・フィスク」。彼は『ホークアイ』にて久しぶりに登場、というか本格的にMCUのストーリーに参入し、ここからヴィランとしてMCUの中でかなり重要なキャラになっていきそうな気配。演じるヴィンセント・ドノフリオがやっぱり良きで、まぁこれは『デアデビル』のほうのレビューにも書いてるけど悪としての恐さと人間的な弱さを合わせ持つめちゃくちゃ魅力的な人物を好演してるんだよなと。彼の過去やら心情やらにも触れてくるあたり、やっぱり『デアデビル』シリーズ、とくにシーズン2あたりまでは見といたほうがより楽しめるんじゃないかな。魅力あるヴィランは作品全体を引き立たせるよねーなんて。

肝心の主人公マヤ、演じるアラクア・コックスは実際に聴覚障害を持っていて、更に実際に片足が義足で、また演技はマヤ・ロペス役が初、なんだけどもアクションは自らこなしてたりもして本当の本当にハマり役なんだなと。ナイスキャスティング。そんな彼女が好演するこの人物、オリジンストーリーとしては体術メインのリアル路線かと思いきや前述した自身のルーツにまつわる先祖からの特殊なあれこれ、例えば『ミズ・マーベル』のようなちょっとした超人パワーの話も絡んでくるあたり意表を突かれたというところ。もちろん良い意味で。

正直『ホークアイ』の時にはこのキャラにとくに愛着も湧かず、それ故に今回のドラマもそんな楽しみにしてなかったんだけど、1話見たらおもしろくてもう止まらず、一挙配信ということでまんまと一挙に鑑賞。そもそもデアデビルやキングピン、ホークアイやケイト・ビショップなど魅力を放ちまくる主役級キャラたちの引き立て役として成り立ってた人物で、そのスピンオフ的な、作品全体にちょっとした「地味さ」が終始漂ってしまうのはまぁ仕方ないとして、しかし一つだけ不満として上げるならば最終話の終盤、ここだけなんか明らかに描写不足が目立つんだよなと。5話の尺でなんとしても終わらせるためにシーンを結構削ったんじゃないか、ラストがめちゃくちゃ駆け足な印象、わるく言えばまとめ方が雑。もっとラストバトルの盛り上がりやら人物それぞれの落とし所やら、あるべきものをきっちり描写してほしかったなーなんて。いやおもしろくないわけではなく、むしろ展開的にグッとくるものがあっただけに、なんとも残念。タイトルの『エコー』にもしっかりと繋がるのに、ね。

さてドラマ次回作は『アガサうんたらかんたら(正式タイトルなかなか安定せず)』か『デアデビル:ボーン・アゲイン(仮)』か、それとも何やら噂のあるワカンダ関係の作品か。最近思うけど、MCUには劇場公開作品にもっと専念してほしいっすねー。おしまい。
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