原作は昔読んだはずだけど、昔過ぎてよく覚えていない。鬱々としてわかりにくい短編小説だったという記憶はある。
何度も映像化されているようだけど、令和版の本作も、やはり暗くてセリフがわかりづらい。が、純文学では行間を読ませるようにはっきりさせなかったところを、このドラマでは肉付けしてある程度謎を解いていて、そこが賛否の分かれるところかもしれない。私は、映像化するなら、これくらいのミステリーと謎解きは必要かなと思う。
少し資産があるのをいいことに、評論家の真似事をして東京で安閑と暮らす中年男の島村。彼が一人旅した東北の雪深い田舎町で、芸者として生きる駒子。
二人の行くあてのない恋が描かれつつ、謎めいた発言の多い駒子には淡くも真剣に愛し合った行男という幼馴染みがいて、これにこれまた謎の地元女性・葉子が絡み、といった出口のない四角関係が展開していく。
時代設定もあるのかなかなか共感しづらい話ではあるが、初めて見る駒子役の奈緒が美しくて薄幸そうでハマっている。何をやってもうまく、特にこういうズルい役の似合う森田望智もよい。
女優陣の奮闘に比べて、高橋一生の島村は、髪型が合っていないし、この島村という人物が何とも優柔不断で冴えないこともあって、魅力的に見えない損な役回り。
