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あなたに聴かせたい歌があるんだの8637のレビュー・感想・評価

3.9
ここまで「エイリアンズ」を重要なキーとして物語が動くドラマが作られるなんて。キリンジを追い、燃え殻を好んだ自分にはできすぎた物語に映った。クラスメイトにこの曲を知っている人が一体何人いるというのだろう。

今はこんな醜い自分達が、あの先生を笑えただろうか。夢は叶わないが、現実はそれなりに楽しい...そんな終わりを皆迎えていたけど、それは果たして本望なのだろうか。
社会の冷たさに苛つく。対して周りで気を遣ってくれる人は優しすぎて死にたくなる。それでも生きてるって答えだ。「楽しい?」って訊かれて、楽しくなかったら死んでるはずだ。

その中で正義化されている「エイリアンズ」。当時から知っていたバンドマンもいる。上杉柊平演じる中澤の話に二つとも心をもっていかれたな。縋り続けた十年を捨てること、かなり厳しい選択だったと思うが、その甲斐を感じられるようなバンドの締め括りと、その後の彼が感じるちょっとした喜びは単純な彼の人情に泣かされるところがあった。

元は映像美でこのドラマを見始めたけど、何度も暗い気持ちになりながら、どうか幸せなエンディングを、と思っていた。
二宮健にヤングポール、果ては堀込泰行まで出てくるのもやばい。
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