ウタカ

ちゃんぽん食べたかのウタカのレビュー・感想・評価

ちゃんぽん食べたか(2015年製作のドラマ)
4.6
さだまさしの自伝的小説のドラマ化。
バイオリニストを目指して東京で一人暮らしをする高校生・佐野雅志がやがてバンドを結成するまでの青春時代が描かれます。菅田将暉が大ブレイクする直前の作品。

学生時代って後から振り返ると楽しく美しいものですが、その只中にいるときには色々な葛藤があり、挫折があり…
いわゆる青春恋愛映画のキラキラしたイメージではなく、もう少し鈍色ではないのかなと個人的にいつも思ってるのですが、このドラマはまさにそんな鈍色の感じがよく出ていてとても好きな作品です。

最後は後のグレープに当たるバンドを結成するわけですが、そこに至るまでには両親が支えてくれ続けていた夢を諦める苦悩があり。高校では友人たちとバンドを組んで青春を謳歌するけれど、彼らとも卒業後はそれぞれの道を歩み、やがて疎遠になっていき…。
希望や優しさは根底に流れつつも、人生について回る現実もシビアに描かれているそのバランスがとても良いと思います。

主人公たち以外のキャストでは、安川先生役の豊原功補が印象的。現実感のある理想的な先生だと思います。また落合モトキが演じた、裕福ゆえに冷めてつまらなそうに生きている大学生もやたら印象に残ってます。

菅田将暉は今でこそ歌手としても名を馳せていますが、当時はデビュー前。このドラマを見て「上手いし魅力的な歌声してるなあ」と思いました。フォークソングも似合うのでぜひまた歌ってほしいです。
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