Train

ステーション・イレブンのTrainのレビュー・感想・評価

ステーション・イレブン(2021年製作のドラマ)
4.1
ウイルス感染により文明が崩壊した世界を舞台に一冊のコミックを中心として巡り合う人々の数奇な運命を描いた群像劇。一応ポストアポカリプスものだが、血生臭いサバイバルはなく(秩序なき世界なので多少の暴力描写は存在するが)パンデミック以前・以後に負ったトラウマに対してどのように立ち直っていくか、また生き残った人々がどのような暮らしをし、何を心の拠り所にしているのかに焦点を当てじっくり時間をかけて描いていく。(似てるものを挙げるとしたら『ヨコハマ買い出し紀行』ぐらいしか思いつかないがテーマが多少違う)原作は2014年の作品であり、ドラマの撮影は2話まではコロナ禍に入るまで済んでいたとのこと。だから内容が現実世界とリンクしているのは全くの偶然ではあるが、その偶然こそ、このドラマのテーマを体現しているようにも思える。

アメリカの作品では珍しい程に寓話的で示唆に富んでおり、キャラクターの心情は簡単には読み取らせてはもらえない。これを書いてる私自身正直よく分かってないことの方が多いのではあるが(劇中何度もシェイクスピアの作品が引用されるが、内容についてほぼ知らなかったのが痛かったか)、人と人の出会いは心を傷つける刃物である同時に癒しでもあり、その事実は世界に終末が訪れようとも変わらず人々の人生をカラフルに彩っていく、というそのメッセージ性には深く感動した。今度は原作とシェイクスピア作品を履修してから見直したい。
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