順風ライフseason4

あまちゃんの順風ライフseason4のレビュー・感想・評価

あまちゃん(2013年製作のドラマ)
4.4
ゴーン・ガールの上巻(映画なら前半)での日記の中のエイミーってクドカン作品に出てくる女みたいだけど、エイミーはそういう女を下巻でこっぴどく否定する。「ブルックリンでパーティーがあったあの夜、わたしは流行りの女を演じていた。ニックみたいな男が求める“いい女”を。男はみんな、それを究極の褒め言葉みたいに口にするでしょ?『彼女って、いい女だよな』
いい女でいるということ。それはホットできらきら輝いた、愉快な女でいることで、フットボールもポーカーも下品な冗談もゲップも大好きで、コンピューターゲームをやり、安いビールを飲み、3Pもアナルセックスも平気で、おまけに世にも盛大な大食いパーティーの主催者みたいにホットドッグやらハンバーガーやらを平らげるくせに、サイズ2をキープする、そういうことだ。なにしろいい女だから。ホットで理解がある。いい女は絶対に怒らない。少し残念そうに、でも愛情深く微笑んでみせ、男の好きなようにさせる。いいのよ、わたしのことなんか気にしないで、わたしはいい女だもの、と。
そんな女が実在するしていると、男たちは信じている。(中略)わたしは彼らをすわらせ、静かに言って聞かせてやりたくなった。『あなたが付きあっているのは本物の女じゃないの。その人は、男女のことなんてわかってない男の脚本家たちが書いた映画を見すぎただけ。そういう連中は、その手の女が存在していて、キスしてくれるかもと妄想しているだけなのよ』」この男の脚本家ってクドカンやんって爆笑しちゃった。ギリアン・フリンってクドカン知ってる?
クドカン作品の女性の描き方がアップデートされたのは『あまちゃん』からと言ってる人がいたけど(おれは『ごめんね青春!』も悪いくせが出てると思う)ほんと、都合よく扱われたポジションがほとんどなかった。観ていて初期のクドカン作品に感じる「おもしろいけど女の扱いがしんどい」問題が改善されて観やすかったし、いつも通りしっかりおもしろかった。クドカンの固有名詞芸ってNHKでもやっていいんだね。これまで評価されてきた43歳の男(クドカンの年齢をわざわざ計算した)が変われるってすごい。柚木麻子が「老害の分岐点は平均35歳」って言ってたのを考えるとマジですごいよ。去年松尾スズキの舞台見たんだけど、この人まだともさかりえにこういうこと言わせたいんだ...そしてやっちゃうんだ...ってなったもん。